本日の株式市場
前日の米国株式市場では、主要3指数が揃って上昇し、特にハイテク株比率の高いナスダックの上昇が目立ちました。これを受け、本日の日経平均株価は前日比429円高の34,871円で取引を開始しました。米株高に加え、ドル円が1米ドル=145円台と前日に比べて円安米ドル高へ推移したことも輸出関連株などへの追い風となり、東証33業種別では輸送用機械の上昇が目立ちました。
午前の取引時間中は35,000円を挟んでもみ合う場面もありましたが、午後にかけては香港ハンセン指数などを中心にアジア株式市場が上昇したことが好感され、上昇幅を拡大する展開となり、後場の寄り付き後には、この日の高値の35,157円を付けました。ただ、本日の夜間に米国で12月消費者物価指数の発表を控えるなか、大引け前には小幅に上昇幅を縮小し、前日比608円高の35,049円で取引を終了しました。
日経平均株価が終値ベースで35,000円を上回ったのは、1990年2月22日以来、33年11ヶ月ぶりです。
(注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。
(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成
日本株上昇の4つの背景
日経平均株価は35,000円台を突破しました。日本株が上昇した背景としては、以下の4つが挙げられるでしょう。まず1つ目として、節目の34,000円超えを受けてCTA(消費投資顧問)などによる先物の買いが加速したこと。次に、2つ目として年初から個人投資家が買い手に転じ、「売り手が不在」の状況が生じたこと。その次に3つ目として、日本銀行がマイナス金利の解除を急がないという安心感があること。そして4つ目として、台湾総統選挙など地政学的な不透明感が強まっている中で、アジア域内における資金シフトが生じたことです。
2つ目について、新NISA(少額投資非課税制度)資金は「外国株投信の買付が中心だが、日本株投信にも一部が流入している」という状況でしょう。ただし、年初からの物色対象は大型株が中心で、需給をけん引しているのは海外投資家だと考えられます。
上記の4つの要因の中でも、1つ目のテクニカルな上値の軽さや、2つ目の「売り手が不在」という状況は、当面の株価上昇の材料として継続可能とみます。さらに、3つ目の「日本銀行は動かない」という見方も、3月の金融政策決定会合(18日・19日)が近づくまでは大きな変化はなさそうです。日経平均株価は35,000円を超えても、達成感が強まらないという見方が妥当だと考えます。なお、野村證券の2024年1-3月の想定レンジは33,000円から37,000円です。
それに対し、4つ目の地政学的な要因はピークを迎える可能性があります。また、第3四半期(Q3)の企業業績は、機械や化学など中国景気に敏感なセクターを中心に、若干期待外れになると予想しています。
(野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
要約編集元アナリストレポート「Quick Note – 日本株朝メモ(2024年1月11日) – 日経平均は35,0000円でも達成感なしか(2024年1月11日配信)」(プレミアムプラン限定)
(注)各種データや見通しは、要約編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成