セクター推奨の軸は円高耐性、値上げ恩恵、国内設備投資回復

2024年、日本株市場は力強い上昇トレンドで開幕しました。その背景として、以下の4点が挙げられます。まず一つ目は、日経平均株価が節目の34,000円を超え、CTA(商品投資顧問)などの先物買いが加速したこと。二つ目は、年明け後に個人投資家からの売り圧力が緩和し、「売り手不在」状態が生じたこと。三つ目は、日本銀行がマイナス金利の解除を急がない、という安心感。四つ目は、中台関係など地政学的な不透明感が高まる中、アジア域内で資金が日本株にシフトしていることです。

今後の展望については、上記4点のうち、一つ目と二つ目、すなわちテクニカル的な上昇余地と、売り手不在状態は、当面の株高要因として継続するとみます。また三つ目、日銀についての見方も、3月18-19日の金融政策決定会合が近づくまでは大きな変化は見込まれません。四つ目については、2024年11月の米大統領選挙も考慮に入れると、日本株に対する潜在的な需要は衰えないと見てよいでしょう。一方で、株安要因としては、2023年度第3四半期(3Q)の企業業績が失望的となる可能性が、日銀短観などから示唆されています。決算発表シーズンを前に、短期投資家からの利益確定売りが出てくる可能性には注意が必要です。

2024年の日本株市場における重要なマクロ要因としては、日米の金融政策が挙げられます。FRB(米連邦準備理事会)のハト派化(金融引き締めに消極的)の傾向は2024年前半まで続き、これは日本株にプラスの影響を与えます。続いて、日銀に対するタカ派化(正常化に前向き)の警戒は4月会合まで続き、これは日本株にマイナスの影響を与えます。なお、中国景気の回復が市場のテーマとなるのは4-6月期以降と考えています。バリュー株対グロース株の観点からは、主にFRBの金融政策の影響を注視しています。年前半はグロース株が有利で、後半はバリュー株が優位に立つと予想しています。

2024年の推奨セクターとしては、輸出関連1つと内需関連4つの計5つのセクターを選んでいます。共通テーマとしては、円高耐性、値上げメリット、国内設備投資の回復の3点を重視しています。ストラテジスト視点から見ると、各セクターのアピールポイントとして、「建設」は円高恩恵、高配当利回り、ガバナンス意識の高さ、「不動産」は日本経済のデフレ体質脱却、実質マイナス金利の長期化、「半導体製造装置」は在庫循環の底入れ、米金利のピークアウト、「システム・アプリケーション」は値上げメリット、人手不足への対応ニーズ、「食品」は長期的な追加値上げのポテンシャルなどが考えられます。

(野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

要約編集元アナリストレポート

日本株投資戦略(1月号) – 日経平均35,000円超えからのシナリオ(2024年1月19日配信)」

(注)各種データや見通しは、要約編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。 画像はイメージ。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成

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