確定申告のシーズンが始まります。所得税の控除が受けられる「セルフメディケーション税制」はご存じでしょうか。平成29年1月1日以降、令和3年12月末までの制度が、令和4年1月1日から5年延長されています。また、延長に伴い、税制対象医薬品の範囲も拡充されています。どのような制度か、大手町トラストの税理士にお話を伺いました。

セルフメディケーション制度の概要

健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っている個人が、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために、その年中に12,000円※を超える対象医薬品を購入をした場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除の特例)を受けることができます。

※ その金額が88,000円を超える場合には、88,000円

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、通常の医療費控除との選択となります。どちらか片方のみの申告となります。

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対象医薬品の範囲

対象医薬品は、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、薬局やドラッグストア等で購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品※)及び令和5年以降に購入された医薬品でスイッチOTC医薬品と同種の効能又は効果を有する一定の医薬品とされています。

※ 要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品のことをいいます。

具体的な対象医薬費品の一覧は、厚生労働省ホームページ(外部リンク)をご確認ください。

※ セルフメディケーション税制の対象となる医薬品の購入費用であるもののうち、それが治療や療養に必要な医薬品の購入の対価であるものについては、通常の医療費控除を受けることを選択した場合の控除の対象となる医療費にも該当します。

ドラッグストア、薬局での購入時

一部の商品は、パッケージに記載されている以下の共通識別マークでも対象商品の確認ができます。

また、購入時のレシートにはセルフメディケーション税制対象商品であることが分かるよう、記載されています。セルフメディケーション税制の適用を受ける場合は、レシートの内容を確認しセルフメディケーション税制対象商品が含まれていた場合は、保管しましょう。

適用を受けられる方

セルフメディケーション税制の適用を受けようとする申告対象となる年に「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」を行っている居住者が対象となります。

<「一定の取組」とは>

  • 保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
  • 市区町村が健康増進事業として行う健康診査
  • 予防接種【定期予防接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
  • 勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
  • 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
  • 市区町村が健康増進事業として実施するがん検診

※ 申告される方が一定の取組を行っている必要があります(申告される方と生計を一にする配偶者その他の親族の方が「一定の取組」を行っている必要はありません。)。
※「一定の取組」に要した費用は控除の対象となりません。

手続・必要な書類

適用を受けるためには、確定申告書に次の書類を添えて提出します。

  • セルフメディケーション税制の明細書
  • 適用を受けようとする年分に一定の取組を行ったことを明らかにする書類

※ 対象医薬品を購入した際の領収書及び一定の取組を行ったことを明らかにする書類は、自宅で5年間保管する必要があります。

<一定の取組を行ったことを明らかにする書類の具体例>

  • インフルエンザの予防接種又は定期予防接種(高齢者の肺炎球菌感染症等)の領収書又は予防接種済証
  • 市区町村のがん検診の領収書又は結果通知表
  • 職場で受けた定期健康診断の結果通知表
    「定期健康診断」という名称又は「勤務先(会社等)名称」が記載されている通知表
  • 特定健康診査の領収書又は結果通知表
    「特定健康診査」という名称又は「保険者名(ご加入の健保組合等の名称)」が記載されている通知表
  • 人間ドックやがん検診をはじめとする各種健診(検診)の領収書又は結果通知表
    「勤務先(会社等)名称」「保険者名(ご加入の健保組合等の名称)」が記載されている通知表

セルフメディテーション税制の対象となる医薬品の範囲も拡大しています。今年の確定申告の前に、今一度レシートを確認して準備をされるとよいでしょう。

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