結論:日米の企業業績は史上最高益の更新が続き、金融相場から業績相場へ移行

目次
・日経平均株価は約34年ぶりの高値
・底堅い米国経済は大統領選にも影響
・米国は金融相場から業績相場へ株価上昇基調が続く
・中国は独自要因で海外株式市場との連動性が低下
・日本で賃金と物価の好循環が実現するか
・企業業績拡大と資本コストや株価を意識した経営の浸透で株価は上昇へ

日経平均株価は約34年ぶりの高値

2024年に入り、日経平均株価は1990年2月以来、33年11ヶ月ぶりの高値を記録しました。主要国に景気減速感はあるものの、米国や日本の景気は底堅く、企業業績は、2024年も史上最高益の更新が見込まれています。我々は、2024年の米国株市場が金利低下による金融相場から企業業績が拡大に向かう業績相場へと進み、日本企業も業績拡大が続くことで、株式市場の好環境が持続するとみます。東証市場改革も日本株市場を後押ししています。

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底堅い米国経済は大統領選にも影響

主要国・地域でインフレが減速しており、米国やユーロ圏では利下げ議論が進みます。エネルギー価格は落ち着いています。米国経済をみると、住宅販売は金利上昇で低迷していますが、消費や雇用環境は底堅く推移しており、インフレの減速から実質賃金はむしろ上昇しています。経済状況は、11月の大統領選挙におけるバイデン大統領の再選にも大きく影響するでしょう

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米国は金融相場から業績相場へ株価上昇基調が続く

米国金融政策については、金利先物などの市場指標は早くも3月からの利下げを織り込みつつあります。一方、FRB高官は早期の利下げには慎重です。また、FRBのバランスシート縮小など、「量」に関する引き締め終了の議論も始まっています。市場の拙速な緩和期待が押し戻される場合、一時的に金利が上昇する可能性もありますが、2024年中に連続利下げが開始されるとの見方は変わらないでしょう。決算シーズンが始まりましたが、2023年10-12月期は大手テクノロジー企業が引き続き増益をけん引したとみられます。2024年はその他の業種にも増益が広がり、金融相場から業績相場へと、米国株の上昇基調が続くものと想定されます

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中国は独自要因で海外株式市場との連動性が低下

中国経済は減速していますが、製造業では在庫調整が進展しています。低調な国内経済や企業や情報技術などに対する規制や制度、米中対立などから、中国への投資は流出超過となっています。以上の背景から、中国株と主要先進国の株価指数は連動しなくなっています

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日本で賃金と物価の好循環が実現するか

日本では製造業の在庫調整が進展し、復調に向かっています。国内経済の焦点は、賃上げです。企業業績の拡大を背景に、大手企業を中心に賃上げ余地は十分あるとみられます。賃金と物価の好循環の実現を見極めた上で、日本銀行は異例の緩和的な金融政策を修正するでしょう。その際、政策修正は技術的な制度変更が中心で、その後は連続利上げにならないと予想します。政策修正が行われる場合、その前後で市場の混乱の回避に向けては、日本銀行の丁寧なコミュニケーションが必要とされるでしょう。

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企業業績拡大と資本コストや株価を意識した経営の浸透で株価は上昇へ

能登半島地震による日本のサプライチェーンへの影響は、限定的とみられます。2024年は米国の利下げによる米日金利差の縮小から、米ドル高・円安の修正が見込まれるものの、企業の価格転嫁や生産性向上を背景に、増益は続くでしょう。野村證券は2024年末の日経平均株価の見通しを38,000円と予想します。PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)におけるバリュエーションの上昇は、東証市場改革への期待を先取りした部分もあるでしょうが、資本コストや株価を意識した経営が本格的に浸透すれば、中長期的な株価上昇が期待できるでしょう

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(野村證券投資情報部 小髙 貴久)

※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 2月号」(発行日:2024年1月22日)「投資戦略の概要」より

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