FRBは政策金利を4会合連続で据え置き

FRB(米連邦準備理事会)は1月30-31日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催し、大方の事前予想通り政策金利の誘導目標を5.25-5.50%に据え置きました。今回のFOMCのポイントは以下の三点です。

① 声明文では政策の先行きについて「firming(引締め)」との表現を「adjustments(調整)」に変更し、政策バイアスの中立化を明確に示した。
② 会合後の記者会見でパウエルFRB議長は景気堅調を示唆する最近のデータを問題視しておらず、利下げ姿勢への転換を示唆した。
③ ただし、パウエル議長は「3月利下げの可能性が高いとは考えていない」と、次回FOMCでの利下げに慎重な姿勢を示した。

この結果を受けて米国市場では、S&P500株価指数、ナスダック総合指数が大幅に下落、国債利回りは低下(価格は上昇)し、ドル円相場は一時146円割れ目前まで円高が進行、その後は147円前後に持ち直す反応を見せました。長期金利の低下に示されるように、米国の利下げ期待が後退した訳ではありません。先物金利を見ると、3月の利下げ織り込みは後退した一方で、2024年末までに5~6回程度の利下げ幅を織り込むなど、24年末の政策金利水準に対する見通しは低下しています。このためS&P500株価指数など米国株の下落は、早期利下げ期待の修正に基づく投資ポジションの巻き戻しに伴う一時的なものと推察され、短期間で収束する可能性が高いと見られます。

利下げに関してパウエル議長は「より良いデータ」ではなく、「より多くのデータが必要である」と発言したこと、3月FOMCでは政策金利見通しが公表されることから、市場で3月利下げ観測が根強く残存する可能性は相応に高いと思われます。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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