1月小売売上高から見た米国の個人消費動向

1月前月比は-0.8%

2月15日に米商務省が、2024年1月の小売売上高を発表しました。小売売上高(合計)は前月比-0.8%でした。ロイター集計による市場予想は同-0.1%でしたので、実績は市場予想を下回りました。12月の小売売上(合計)については、前月に発表された速報値の前月比+0.6%から、同+0.4%に下方修正されました。

業種別では、家具が前月比+1.5%、飲食店が同+0.7%、百貨店が同+0.5%となりました。

一方、建設資材・ガーデニング用品が同  -4.1%、自動車・同部品が同-1.7%、ガソリンスタンドが同-1.7%、インターネット小売を含む無店舗販売が同-0.8%などとなりました。

GDP(国内総生産)の算出に用いられる、コントロールグループと呼ばれる自動車や建材、ガソリンスタンド、食品を除いたコア小売売上高は、1月は前月比-0.4%でした。12月分は、速報値の同+0.8%から同+0.6%へ下方修正されました。

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1月の前年同月比は+0.6%

1月の小売売上高(合計)の前年同月比は+0.6%と、12月改定値の同+5.3%から伸び率が鈍化しました。12月の小売売上(合計)については、前月に発表された速報値では同+4.0%でした。

業種別にみると、無店舗販売が前年同月比+6.4%、飲食店が前年同月比+6.3%、化粧品を含む健康用品が同+5.0%、食品・飲料が同+1.9%、などとなっています。

一方、家具は同-9.8%、建設資材・ガーデニング用品が同-8.3%、ガソリンスタンドが同 -7.5%、百貨店が同-6.7%、電気製品が同-5.8%、などとなっています。

前年同月比で拡大基調続くも鈍化

小売売上高(合計)の前年同月比の推移をみると、1月は+0.6%と、12月改定値の同+5.3%から伸び率が大きく減速しています。

無店舗販売は、1月は同+6.4%と、12月改定値の同+9.5%から伸び率が鈍化しています。

ミシガン大学消費者マインド調査

2月2日に発表されたミシガン大学消費者マインド調査の1月確報値は79.0と、12月確報値の69.7から大きく改善しました。

併せて発表された消費者期待インフレ率調査では、1年先確報値は、1月19日に発表された1月速報値の2.9%で維持されました。一方、5年先確報値については、1月速報値の2.8%から2.9%に上昇しました。

今後の留意点

1月小売売上高は、全体の前月比が市場予想を下回り、前年同月比は12月よりも伸び率が減速しました。

米国の個人消費は、インフレ鎮静化やガソリン価格低下などを追い風に、2023年末にかけて堅調に推移してきました。1月は好調な年末商戦への反動が出てきた可能性があります。

また、建設資材・ガーデニング用品が前月比、前年同月比共に減少しており、一部地域における悪天候の影響を受けている可能性があります。

また、前月比、前年同月比共にガソリンスタンドの売上が減少しており、直近のガソリン価格の下落に加え、こちらについても悪天候の影響を受けている可能性が考えられます。

翌週20日にはディスカウントストア最大手のウォルマートや、ホームセンター最大手のホーム・デポなどの小売企業が2023年11月-2024年1月期決算を発表します。決算が発表された際には、各社の足元の業績動向に加え、会社業績予想や経営陣のコメントなどを通し、米国の個人消費の動向を把握していきたいと考えます。

次回、2月分の小売売上高は3月14日に発表される予定です。発表された際には、他の経済指標などと併せて、米国個人消費の動向を確認していきたいと考えます。

(野村證券投資情報部 村山 誠)

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