日経平均は年内40,000円超えシナリオへ、銀行セクターなどを推奨

日経平均株価は、一時終値ベースでの史上最高値(1989年12月29日の終値38,915円87銭)を上回りました。野村では、日経平均株価は年内40,000円超えシナリオへ向かうと予想しています。TOPIX(東証株価指数)のEPS(1株当たり利益)について、トップダウン手法を用いて計算したところ、2024年度は176.2、2025年度は192.8となりました。2024年12月末のTOPIXは、2025年度のEPSに対してPER(株価収益率)は過去平均並みの14.6倍を想定し、2,825と予想します。日経平均をTOPIXで割った「NT倍率」は、日銀によるETF(上場投資信託)売却への警戒によって現状の14.5倍から14.2倍へとやや下がると想定し、2024年12月末の日経平均株価は40,000円と予想します。

ここからの日本株の投資テーマをどのように見るべきでしょうか。2023年10-12月期(3Q)決算の動向は、3つの投資テーマの重要性を浮き彫りにしました。第一に、世界的なインフレ圧力が緩和していく中で、値上げの継続性が企業業績や株価パフォーマンスの優劣を決定づける事例が増えています。第二に、米国景気の強さと中国景気の弱さが一層深まり、輸出企業の業績に格差をもたらしています。第三に、低PBR(株価純資産倍率)の企業を中心に、自社株買いや政策保有株の売却、事業ポートフォリオの見直しといった積極的な財務戦略が展開されています。

2024年3月末に向けた日本株の個別銘柄の物色対象については、バリュー(割安)株が優位になる展開を見込みます。ドナルド・トランプ前大統領はインフレ的な政策を掲げており、「トランプ政権復活」の市場織り込みが上昇すれば、バリュー株にとってプラスに働くでしょう。推奨セクターは、銀行、システム・アプリケーション、不動産、建設、食品の5セクターとします。従来から銀行を加えていますが、銀行が政策保有株の売却を迅速に進める可能性や日本銀行によるマイナス金利解除に向けた地ならしに注目しています。また、3月末にかけて配当の権利取り狙いの買いが増えれば、高配当利回り銘柄に有利に作用すると見ます。

リスク要因としては、次の3点に注視が必要です。第一に、米国のインフレ率が再加速し、FRB(米連邦準備理事会)が利上げを再開した場合、世界的に株価バリュエーション(投資尺度)が調整する可能性があります。第二に、日本銀行が継続的な利上げに転じた場合、企業の利払い負担が増加します。第三に、中国のマクロ経済運営が不安定化することや、米中貿易戦争の再燃です。

(要約編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

要約編集元アナリストレポート

日本株ストラテジー – 日経平均40,000円超えシナリオへ(2024年2月15日配信)

日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2024年2月16日配信)

(注)各種データや見通しは、要約編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成

【野村の投資判断】シリーズ記事(個別銘柄編)は、最近発行された野村證券のアナリストレポートの中から、特定の条件(保有残高、レーティング・目標株価変更、時価総額など)に基づいて抽出した銘柄関連レポートを要約して、定期的に配信しています。特定の銘柄について有価証券の買付けもしくは売付け等を推奨するものではありません。

ご投資にあたっての注意点