Q:インフレ鈍化は日本株にとってリスク?

今年の日本株の一番のリスクは「日本のインフレが鈍化すること」と考えています。

① CPI(消費者物価指数)もやや鈍化傾向にあり、インフレが前年比で2%を切るようなことがあれば、今の相場が逆回転してもおかしくないとの考えは妥当でしょうか。

②仮にインフレが鈍化するならばどのようなシナリオ・戦略があるでしょうか。

③インフレを予見する上で、注目している数字を教えてください。

A:上昇抑制ならず、企業の物価見通しに注目

インフレ鈍化が日本株上昇抑制に直結するとは必ずしも考えられません。(コア)CPI上昇率は、野村はもとより日銀においてもいったん減速を予想しており、かつ、そのほうが実質賃金をプラスに転じさせることで「賃金物価の好循環」を後押しする面もあります。

株式市場が評価するのは、輸入インフレの長期化などを背景として形式的に高い(2%を超えるような)インフレが続くことよりも、小幅であっても企業がコンスタントに値上げを継続できるような環境の醸成であるはずで、そのためには一旦インフレが鈍化し実質賃金や所得がプラスになったほうが消費需要に持続性を生み出す点でプラスです。

②について:インフレ鈍化で市場が過度に織り込んだ日銀政策の正常化期待、特に利上げ予想が後退するのであれば、円金利の低位安定長期化が期待できますので、不動産を中心とする金利敏感業種に対しプラス効果が大きいと考えられます。

③については、春闘ないし個社での賃上げ加速は十分に確認されつつありますので、マクロ的な賃金にしっかり波及しているかを確認する点で毎月勤労統計の現金給与総額には注目すべきであり、また、それが企業の継続的な値上げを促しているかを見る点で、日銀短観の企業の物価見通しに注目する必要もあると考えます。

(注)画像はイメージです。
(出所)野村證券経済調査部より野村證券投資情報部作成

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