※2024年3月7日(木)引け後の情報に基づき作成しています。

急上昇の動きは3ヶ月目に

今週の日経平均株価は、3月4日に史上初の4万円台超えとなりましたが、その後は上値の重い展開となりました。7日は日銀・中川審議委員の発言を受けて、日銀が金融政策の正常化に踏み切るとの見方が強まり、円高・株安となりました。

チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、2月22日に史上最高値を約34年ぶりに更新し、3月4日に初めて4万円の大台に乗せました。ただ、これまでの急上昇の反動もあり、7日には終値で再度4万円を割り込んでいます。この先、これら急騰の反動をこなしつつ、心理的フシの4万円を早期奪回し、3月7日高値(40,472円)を超える動きとなるか注目されます。

一方で、1月に入ってからの急上昇は3ヶ月目となっており、本格的な調整に進展する場合は、1月中旬の日柄調整時に下支えとなった上向きの25日線(3月7日:38,160円)が次も下支えとなると考えられます。

※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。

 (注1)直近値は2024年3月7日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
 (出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成

次に長期的な動きを確認してみましょう(図2)。現在は2022年3月安値(24,717円)を起点とする中長期上昇局面を形成中だと考えられます。これまでの上昇倍率は1.62倍となっていますが、これは過去の長期上昇局面(①~③:1.6倍~2.6倍)のうち、最も低い上昇倍率(②:1.6倍)と同等の動きに留まっています。

前回(③)の上昇倍率である1.9倍を2022年3月安値に当てはめると46,962円と試算され、この先も上昇余地があると考えられます。

(注1)直近値は2024年3月7日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

TOPIX、史上最高値更新へ向けた動きとなるか注目

米国では、昨年12月にNYダウ、今年1月にS&P500指数、そして2月にナスダック総合指数が約2年ぶりとなる史上最高値を更新しました。 一方で、日本では、今年2月に日経平均株価は約34年ぶりとなる史上最高値更新となりましたが、日本株のもう一つの代表的な株価指数であるTOPIXは1989年12月につけた史上最高値(2884.80pt)を更新していません。この先、日経平均株価と比べて構成銘柄のゆがみが比較的小さいとされるTOPIXも史上最高値を更新となれば、日本株は名実共に新たなステージに入ったと言えるでしょう。

チャート面からTOPIXの中長期トレンドをみると、保ち合い上抜け前の安値である2023年1月安値(1868.15pt)を起点として、26週移動平均線(3月7日:2426.95pt)を下支えとする上昇相場に入っています(図3)。2023年1月安値からの上昇率は46.2%(3月7日時点)となっていますが、前回の中長期上昇局面(20年3月~21年9月)の上昇率の71.4%には到達しておらず、今後も上昇余地があると考えられます。

(注1) 直近値は2024年3月7日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。
(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

次にTOPIXの数十年続く超長期トレンドについてみてみましょう(図4)。TOPIXは、1990年代から約30年にわたり続いてきた長期上値抵抗線を、2023年に明確に上放れしました。その後も大幅上昇となっており、平成バブル崩壊後の最安値である2012年6月安値を大底とする新たな超長期上昇トレンドが始まっている可能性が高いと捉えられます。

これら超長期トレンドの観点からみても、TOPIXはこの先、史上最高値更新に向けて歩みを進めると考えられます。

(注1) 直近値は2024年3月7日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

(投資情報部 岩本 竜太郎)

※画像はイメージです。

【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら

ご投資にあたっての注意点