目次
・日米主要株価指数の高値更新が続く
・米国利下げは年央以降
・米国企業業績の拡大が株価を下支え
・中国政府当局の市場の混乱を抑えようとの意志は強い
・日本の春闘は歴史的な賃上げ
・金融政策の正常化と共に経済・金融市場は新たな局面に

日米主要株価指数の高値更新が続く

日米主要先進国の株価は、史上最高値の更新を続けています。日本銀行はマイナス金利を含む大規模な金融緩和の解除に踏み切ったものの、市場の波乱は見られませんでした。我々は、米国株式市場は金利低下による金融相場から企業業績が拡大に向かう業績相場へと進み、日本企業も業績拡大が続くことで、株式市場の好環境が持続するとみています。日本銀行は、当面、緩和的な金融環境が続くと表明しており、日米企業業績の拡大が続くとみます。

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米国利下げは年央以降

2024年の主要国・地域の経済成長率は、日欧では復調に向かい、米国は巡航速度に落ち着くとみられ、景気悪化懸念は見られません。米国では実質賃金が上昇しており、消費を下支えするとみられます。一方、インフレ率の減速も緩やかとなり、利下げのタイミングが年央以降になるとの見方が強まっています。FRBのバランスシート縮小ペースの減速は、次回5月FOMCで表明される可能性が高まっており、金融引き締めの縮小は緩やかに進められてゆくでしょう

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米国企業業績の拡大が株価を下支え

米国企業業績のけん引役は、2023年後半は大手テクノロジー企業のV字回復でしたが、徐々にその他の幅広い産業へ広がるとみられます。ただし、半導体を中心にAI(人工知能)関連ビジネスの成長は目覚ましく、関連企業の利益成長にはその期待が現れています。米国株式市場は、金融相場から業績相場へと移行し、当面は上昇局面が続くとみられます

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中国政府当局の市場の混乱を抑えようとの意志は強い

ユーロ圏について、ECB政策理事会の多くのメンバーが6月の利下げを示唆する発言を行っています。ユーロ圏の金融市場は落ち着いています。一方、中国は、不動産開発企業の問題や景気減速懸念はありますが、政府当局による市場の混乱を抑えようとする意志は強く、2024年3月の全国人民代表大会では、システミックリスクを防ぐことが明言されました。

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日本の春闘は歴史的な賃上げ

日本の輸出は、自動車や半導体関連など主力製品は数量ベースで増加しています。春闘では5%を上回る歴史的な賃上げ率となり、政府の求める所得増と経済成長の好循環に資するものとなるでしょう。基調的な物価上昇率も安定的に推移しており、日本銀行は、今後、物価安定の目標が持続的・安定的に実現することが見通せる状況に至ったとの判断から、マイナス金利を含む大規模な金融緩和政策の解除に踏み切りました。

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金融政策の正常化と共に経済・金融市場は新たな局面に

日本銀行の金融政策の正常化に当たり、緩和的な金融政策を継続することが明言され、長期国債の6兆円規模の月間買入れが示されるなど、金融市場に波乱はありませんでした。日本の経済・金融市場は、新たな局面に入ったとみられます。物価の見通しに上振れリスクが高まる場合、追加利上げがあり得ますが、野村證券は年内は10月に1度、0.25%への利上げにとどまると予想します。為替市場は足元で円安が進むものの、米国利下げの見方が強まることで、米日金利差の縮小により米ドル高・円安は修正されるとみます。主要企業の業績拡大が続く中で、野村證券は2024年内の日経平均株価のレンジ高値を43,000円と予想します

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投資戦略については、日米ともにPER(株価収益率)でみたバリュエーションは上昇していますが、金利上昇局面における利益の成長期待を先取りした市場の自然な反応とみられ、株価の割高への警鐘とまでは言えないとみます。引き続き、企業業績の拡大が株価を下支えするでしょう。

(野村證券投資情報部 小髙 貴久)

※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 4月号」(発行日:2024年3月25日)「投資戦略の概要」より

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