海外市場の振り返り

27日の米国株式市場では主要3指数が揃って反発しました。S&P500は前日から小幅高で始まった後は、終日横ばい圏で推移したものの、取引時間終盤に上昇し、史上最高値を更新しました。特徴的だったのは株高の牽引役がこれまでの主力であったハイテク関連ではなく、公益事業や不動産などの内需・ディフェンシブ銘柄だった点です。米国債市場では10年国債利回りが低下し、4.2%を割り込んだことなどが好感されたものと見られます。為替市場では、円はドルに対して東京時間に一時151円97銭と、約34年ぶりの安値に下落、これを受けて昨年5月以来となる財務省・日銀・金融庁による3者会合が急遽開催されました。また、鈴木財務相が「行き過ぎた動きにはあらゆるオプションを排除せずに断固たる措置を取っていきたい」と発言、これまでの「適切な対応」との表現から警戒姿勢を明確に強めたことを受けて介入警戒感が高まり、ドル円は151円台前半へ押し戻されました。

相場の注目点

日銀は3月18-19日の会合で約17年ぶりの利上げを決定しましたが、円安に歯止めをかけるには十分ではないことが明らかになっています。本邦政策当局は昨日の3者会合で介入水準として152円前後に線引きをした形ですが、日米の金融政策の次の一手が、日本の利上げと米国の利下げの組み合わせであることを織り込みながらも円安に歯止めがかからない背景には、日米金利差が当初の見込みほどには縮小せず、高止まりするとの見方があると推察されます。植田日銀総裁は今後の政策変更は「経済・物価動向次第」との姿勢を示し、追加利上げの可能性も否定していません。今後も円安に歯止めがかからなければ、日銀の追加利上げ前倒し期待に波及する可能性があるため、注意が必要です。

(投資情報部 尾畑 秀一)

(注)データは日本時間2024年3月28日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

※画像はイメージです。

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