来週の注目点:日銀短観と米国重要統計と市場の反応

3月に入り日本銀行、FRB(米連邦準備理事会)の金融政策会合をこなし、市場では日米の金融政策の次の一手として日銀の利上げとFRBの利下げの組み合わせが予想されています。それにもかかわらず、両者の3月会合を経て為替市場では円安ドル高が進行し、ドル円相場は一時151円97銭と34年ぶりの円安水準を記録しました。これを受けて財務省・日銀・金融庁の3者会合が急遽開催されるなど、本邦通貨当局による介入警戒感が高まっています。

植田日銀総裁は金融政策判断は「経済・物価見通し次第」としており、市場では追加利上げのタイミングとした7月と10月の見方が拮抗していますが、円安に歯止めがかからなければ早期利上げ期待が高まる可能性がありそうです。

日本では4月1日(月)に日銀短観(3月調査)が発表されます。同統計は調査対象、調査内容ともに広範囲に及び、政策判断にも影響力の大きい調査です。

米国では月初の重要指標の発表が相次ぎます。1日(月)に3月ISM製造業景気指数、2日(火)に2月雇用動態調査(JOLTS)、3日(水)に3月ISMサービス業景気指数、5日(金)に3月雇用統計が発表されます。2024年中の政策金利見通しに関しては市場とFRBの見通しは収斂しています。このため、注目点は重要統計が予想対比で上振れ、長期金利が上昇した場合の米国株の反応です。長期金利の上昇と株高が同時進行するならば、業績相場への移行が視野に入ります。

ユーロ圏では3日(水)に3月消費者物価指数、4日(木)に3月ECB金融政策理事会議事録、5日(金)にドイツの2月製造業受注が発表されます。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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