Q:デベロッパー大手4社、それぞれの「街づくり」の評価は?

「街づくり」について、大手デベロッパー4社ともに違いがあると思いますが、三井不動産、住友不動産、三菱地所、野村不動産について、それぞれどのように評価していますか?

A:各社、複合型の街づくり開発を評価

三井不動産(8801)】開発コンセプトの一つに「ミクスドユース」があります。様々な用途の不動産を複合的に開発して、街づくりを行い、賑わいを創出し、街全体の不動産価値を高めます。例えば、豊洲・横浜・柏・船橋では、マンションと商業施設の「ららぽーと」やオフィスなどを作り、街の価値を高めました。都心では、「六本木ミッドタウン」や地盤の日本橋で、オフィス・商業・ホテル・サービスアパートメントなどの複合開発を行っております。三井不動産の今後の大規模再開発は、日本橋・八重洲・日比谷・神宮外苑などがあります。

住友不動産(8830)】特徴は、小さなブロックを時間をかけて買い増ししながら大型ブロックに仕立て上げ、ビルを作ることです。街区を大きくすることで土地の価値が向上し、含み益を増大させます。都心では、大型ビルをつくる場合、地域によっては住宅を設置する義務が生じるケースがあります。また、ホテルを併設すると建築容積のボーナスが付与されることもあります。その場合、高級賃貸住宅の「ラトゥール」やホテル「ビラフォンテーヌ」との複合開発になります。イベントホール「ベルサール」をビル内に設けることもありますが、あくまでもオフィスビル開発が主体のため、単体ビル開発と評されることもありますが、最近では有明で、住宅・商業・ホテル・イベントホール・オフィスの街づくり型開発の実績もあります。また、住友不動産の次の大型開発は、森ビルとのJVで、第二六本木ヒルズとも言われる「六本木五丁目開発」です。大型、複合型の街づくり開発となります。

三菱地所(8802)】特徴は、大丸有(大手町・丸の内・有楽町、所謂「丸の内」)エリアに保有する低層の築古ビルの建替えです。「丸の内」の街づくりに注力してきました。100年以上前から保有する土地を高度利用するため、土地への投資は不要でかつ土地の生産性を高める戦略です。ビルを高層化するにあたり、東京駅の空中権をJR東日本から取得し、「丸ビル」などへ移転したことがありました。また、丸の内といえども、住宅の付置義務がありますが、同じ千代田区の「番町」などに同規模以上の住宅を開発する「隔地住宅」制度を利用することで、丸の内のビルに住宅を付置することなく開発を進めることもできました。「丸の内」以外を「丸の外」と三菱地所は呼ぶことが多いのですが、「丸の外」では政府などによる大型の売却地を入札で取得し、開発するケースが多数あります。例えば、大阪駅北口の「大阪北ヤード開発」などがそれにあたります。三菱地所の今後の注目大型物件は、日本最高層になる予定の東京駅前の「大手町常盤橋プロジェクト:トーチタワー」です。

野村不動産(3231)】郊外でマンションと商業施設の複合開発を行うこともありますし、現在は浜松町で「旧東芝本社ビル」跡地で大型のオフィス・ホテル・マンションの複合開発を行っております。また、日本橋において三井不動産とJVで大型複合開発を進めています。ただ、野村不動産の特徴は中規模ビルの開発にあります。都心では、中規模でありながら大型ビルと同等の高品質なオフィスビル「PMO(プレミアム・ミッドサイズ・オフィス)やサービス機能が付加された「H1O」、また飲食ビルの「GEMS」などを開発し、稼働を高めた上で、REITなどの不動産ファンドへ同物件を売却し、開発利益を稼ぎます。

(注)画像はイメージです。
(出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

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