海外市場の振り返り

2日のNY株式市場で、主要3指数は揃って下落しました。シリアのイラン大使館が空爆を受け、中東情勢の緊迫化が意識される中、WTI原油価格は一時1バレル85.46ドルと、期近物としては2023年10月以来の高値を付けました。経済指標では、2月のJOLTS求人件数が875.6万件と市場予想を上回り、雇用環境の堅調が示唆されました。また、2月の米製造業受注は前月比+1.4%と市場予想を上回り、前月から改善しました。これら原油高や堅調な経済指標を受け、インフレ高止まりが意識され、米国10年債利回りは一時、2023年11月以来となる4.40%を付けるなど上昇し、株価を押し下げました。

相場の注目点

3月19日~20日に行われたFOMCで、FRBは2024年内に利下げに踏み切る姿勢を改めて示した一方で、経済予測では実質GDP成長率は2026年にかけて潜在成長率より高い成長率が続き、インフレは2025年末まで目標とする2.0%を上回ると予想しました。これらを踏まえ、当面は経済指標で米国経済やインフレの動向を確認し、利下げの開始時期や利下げペース、バランスシート縮小のペース修正や終了時期を見極めていく局面が続きそうです。

今週は週後半にかけて、米国で重要指標の発表が相次ぎます。3日(水)に3月ISMサービス業景気指数、5日(金)に3月雇用統計が予定されています。特に雇用統計では、インフレ高進の主要因の一つとみられる平均時給の伸び率が注目されます。足元では、良好な経済指標がFRBの利下げを後ずれさせ、株価を押し下げるという、「良いニュースは悪いニュース」の流れが復活しています。本日発表される経済指標が仮に経済の力強さを印象付けるものとなれば、さらなる米金利上昇を招くとみられ、注意が必要です。

(投資情報部:寺田 絢子)

(注)データは日本時間2024年4月3日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

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