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2023年末、33,464円で終えた日経平均株価は年初より上昇スピードを速め、2月22日には1989年末の史上最高値38,915円(終値ベース)を更新、3月4日には初めて40,000円台に到達し、その後も押しを入れながらも堅調な推移をたどっています。年初来7,000円、20%を超える上昇となっており(3月27日時点)、株価水準の妥当性に関する議論が高まりつつあります。本稿では、PER(株価収益率)の観点から日経平均株価の水準について確認してゆくことにしましょう。

【ヒストリカル】‥日経平均株価の予想12ヶ月後EPS(1株当たり利益)ベースのPERは2010年代前半以降、永らく12~14倍のゾーンでの推移が続いてきました。年初来株価が急上昇した結果、2024年3月末時点でのPERは17倍と、(ここ10年前後という)ヒストリカルな観点からは割安とは言い難い状況と言えるでしょう。

【相対比較】‥先進国・地域間の相対的なPER水準を比較すると、我が国の17倍に対し、米国(S&P500)22倍、欧州(STOXX欧州600)14倍となっています。成長性/収益性に優れた米国のPERが図抜けて高く、日本、欧州が続く形になっています。

まとめると、現在の日経平均株価のPERは、もはや上昇局面入り前の、ヒストリカル/先進国・地域間比較いずれでも著しく割安な状況とは言えない状況です。しかし、1989年当時のように一般的な投資のフレームワークで説明が難しい状況には程遠く、欧米諸国よりもかなり強い短期的な業績モメンタムや、昨年度より企業が取り組み始めた(東証の要請に基づく)企業の収益性/資本効率向上への期待感などで十分に説明のつく範囲のPER上昇と考えられます。

【上値余地はあるか?】‥日経平均株価の2024年度予想EPSは、2024年3月末時点で前年度比+8.1%増となっています(下左表)。この予想EPSの伸び率が今後さらに高まることが、(必須条件というわけではないものの)日経平均株価の更なる上昇のサポート要因となると思われます。2024年度の日本企業を取り巻く環境は、年度末に向けてしり上がりに生産活動が回復し、物価もプラス圏での推移が続くことから緩やかな交易条件の回復が見込まれます(下右図)。年度を通じての持続力はともかく、2024年7-9月期以降は、瞬間風速で前年同期比2桁台の経常増益となる公算が大きいと考えられます。  

現在の日経平均株価は、今以上のPERの上昇を前提にしなくても十分に上値を追える状況にあると言えるでしょう。

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ご投資にあたっての注意点