来週の注目点:日米の経済指標、春節後の中国経済の実態

パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長が早期利下げに慎重な姿勢を続ける中、足元で雇用や景況感の堅調さを示唆する経済指標が相次いでいます。利下げ開始が後ずれするとの市場の思惑から米国債利回りが上昇し、米ドルも主要通貨に対して上昇しています。米国では、10日(水)に3月消費者物価指数、3月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録、11日(木)に3月生産者物価指数、12日(金)に4月ミシガン大学消費者マインド(速報値)などの重要統計が発表されます。3月FOMCでは24年中の政策金利見通し(中央値)に変更はありませんでしたが、足元のインフレ動向等を踏まえた議論内容に注目が集まります。

日本では、3月日銀金融政策決定会合でマイナス金利解除が決定され、次なる焦点は追加利上げ実施の有無です。植田日銀総裁は今後の金融政策判断は「経済・物価見通し次第」としており、想定以上の賃上げが実施される場合や、円安に歯止めがかからなければ早期利上げ期待が高まる可能性があります。日本の経済指標は、8日(月)に2月毎月勤労統計、3月景気ウォッチャー調査が発表されます。毎月勤労統計に春闘の結果が反映されるのは4月から5月にかけてと見られますが、足元の賃金動向を確認する上で注目です。

中国では3月PMI(購買担当者景気指数)が製造業、非製造業ともに改善したことで、中国景気の先行き懸念が一服しています。ただし、中国では春節休暇の時期が年によって変動し、今年のように2月の場合には、3月に企業活動がフル稼働となることで景況感が押し上げられる傾向があるため、景気の回復力を慎重に見極める必要があります。12日(金)発表の3月貿易統計は、製造業の実態を把握する上で参考になります。  

(野村證券投資情報部 坪川 一浩)

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