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2024年5月17日、NYダウが終値で史上初めて4万ドルの大台に到達しました。春先以降、米国ではインフレ高止まり懸念から早期利下げ期待が後退し、株価の重石となっていました。しかし、雇用統計をはじめ消費者物価や小売売上など、5月に入って発表された4月分の主要経済指標が軒並み市場予想を下回ったことから長期金利が再び低下し、株価上昇の再開/最高値更新への追い風となっています。
今回のNYダウの4万ドル超えを受けて、急ピッチな株価上昇に対する警戒感も聞かれます。史上初の「3万ドル超え」が2020年11月でしたので、わずか3年半での大台塗り替えです。しかし、「2万ドル超え」が2017年1月でしたので、3万ドル到達までかかった3年10ヶ月と比べて今回の4万ドル到達はほぼ同じペースです。むしろ上昇率で見れば、2万ドルから3万ドルまでの50%に対し、3万ドルから4万ドルまでは33.3%ですので、前者の方がハイペースだと見ることもできます。いずれにせよ、現在の株価上昇ペースは巡航速度と考えられ、チャート面からは「4万ドル」という節目は一つの通過点に過ぎないと言えそうです。
NYダウの128年の軌跡をひも解くと、過去2回の超長期の上昇継続局面がありました(下図)。1回目が図中①の1942年から1966年までで、上昇期間は約24年間、100ドルから1,000ドルの大台水準に向けた上昇局面です。その後「株式の死」と呼ばれた調整期間を経て、2回目が図中②の1978年から2000年までで、上昇期間は約22年間、1,000ドルから10,000ドルの大台水準に向けた上昇局面です。
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(注)縦軸は対数目盛。1896年は5月26日以降のデータ。直近値は2024年5月17日時点。トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。
(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社、各種データより野村證券投資情報部作成
そして今回、2000年のITバブル崩壊からリーマンショックに至る調整期間を経て、NYダウは3回目の超長期の上昇継続局面に入っていると考えられます。2009年から2024年まで既に15年間上昇していますが、過去2回の図中①②の上昇局面を参考とすれば、この先2030年代前半にかけて、次の桁替わりの大台水準となる10万ドルを目指す上昇が進行中とみることができます。株価上昇が一本調子で続くことはないですが、年換算で10~15%程度の上昇が続けば達成できる計算です。米国企業業績の成長を加味すれば、決して荒唐無稽な目標とは言えないのではないでしょうか。
テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載されている内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。