※画像はイメージです。

※2024年5月30日(木)引け後の情報に基づき作成しています。

日経平均株価の下値メドは36,700円近辺、二番底形成なるか

今週の日経平均株価は、日米金利上昇が嫌気され、30日まで3日続落となり、取引時間中に一時3万8000円を割り込みました。日本の10年国債利回りは、約13年ぶりに1.1%に達しました。

チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。5月16日に日経平均株価は、これまで概ね上値を抑えられてきた25日移動平均線(5月30日:38,448円)を上回り、その後もしばらく同線を維持していました。

しかし、長期金利の上昇により上値は重くなり、5月30日の大幅安を受けて25日線を再び割り込みました。この調整が継続となり、30日安値(37,617円)を下回った場合は、4月19日安値(36,733円)の水準が下値メドとして挙げられます。

今年4月安値までの下落率(9.3%)は、波動分析上の参考局面である昨年10月安値までの下落率(9.6%)と比較し、値幅調整は概ね十分と捉えられます(図2)。

日足チャートで昨年10月安値(10月4日:30,487円)形成後の動きをみると、その後“二番底”(10月30日:30,538円)をつけ、本格的な上昇トレンドに移行しました。今回も同様に“二番底”形成の動きに留まるか注目されます(図1)。

一方で、5月30日安値(37,617円)形成後は引けにかけて値を戻し、昨年10月以降の上昇トレンドライン上で下ヒゲを引いて反発しています。この先戻しを試す展開となった場合は、早期に25日線(同:38,448円)を奪回できるか注目されます。

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(注1)直近値は2024年5月30日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

(注1)直近値は2024年5月30日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

新興国株指数は底練り局面を脱するか

新興国株が今年に入り上昇傾向となっています。新興国株の代表的な指数であるMSCIエマージング・マーケット指数(ドル建て)は、2008年10月以降、上下に大きく動きながらも緩やかな長期上昇トレンドを形成してきました(図3)。

2022年10月安値形成時に前述の長期上昇トレンドラインを下支えとして反発、その後はチャート上の底練り局面へと移行しました。今春には、2023年1月高値以降の上値抵抗線を突破しており、今後、本格的な戻り相場入りとなることが期待されます。

(注1)直近値は2024年5月28日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)ドル建てのMSCIエマージング・マーケット指数を使用している。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

新興国株の代表的な存在である中国株は今年2月にかけて下落傾向となっていましたが、当局の相次ぐ景気刺激策や景況感の改善などによって、今春に大幅上昇しました。

上海総合指数(図4)のチャートをみると今年2月安値形成後の大幅上昇で、2021年から約3年続く下降トレンドラインまで値を戻しています。この先同ラインを突破となれば、中長期的な上昇トレンドに入った可能性が高まったと捉えられます。

(注1)直近値は2024年5月28日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

次にインドSENSEX指数(図5)をみると、昨年末にかけて大幅上昇した後、今年に入ってからもじり高となり、史上最高値の更新が続いています。インドではインフレ率が低下する中で成長が加速し、経済は好調な状態を維持しています。

6月4日に開票予定の総選挙では与党・インド人民党が世論調査通り圧勝するか注目が集まります。今後も24ヶ月移動平均線を下支えとする中長期的な上昇トレンドが続くか注目されます。

(注1)直近値は2024年5月28日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。
(出所)ボンベイ証券取引所より野村證券投資情報部作成

新興国の経済環境は各国で大きく異なりますが、今後米国経済が緩やかな減速に留まる中で米国金利が低下してくれば、投資資金が新興国へ向かいやすくなると考えられます。また、新興国の金融政策の自由度も高まる可能性があります。引き続き新興国株から目が離せません。

(野村證券投資情報部 岩本 竜太郎)

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