※画像はイメージです。
※2024年6月6日(木)引け後の情報に基づき作成しています。
今後、史上最高値更新も視野に
今週の日経平均株価は、日米の長期金利低下が好感されたものの、上値は重い展開となりました。
チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、5月20日高値(39,437円)形成後の上値は重く、30日には25日移動平均線(6月6日:38,586円)を割り込み、一時37,617円まで下落しました。
しかし、昨年10月以降の上昇トレンドライン上で下ヒゲを引き反発しており、この先、5月20日高値(39,437円)を超えることができるか注目されます。同高値突破となれば、4月19日安値を大底とし、5月30日安値を二番底とするダブルボトムが完成することとなり、下値の固さが確認されます。その場合、まずは、4月12日戻り高値(39,774円)や、心理的フシの4万円の水準へ向けた動きとなると考えられ、先行きは史上最高値(41,087円)更新が視野に入ってくるとみられます。
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(注1)直近値は2024年6月6日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成
一方で、この先再度調整となり38,000円台を割り込む場合は、5月30日安値(37,617円)や、4月19日安値(36,733円)の水準が下値メドとして挙げられます。今年4月安値までの下落率(9.3%)は、波動分析上の参考局面である昨年10月安値までの下落率(9.6%)と比較し、値幅調整は概ね十分と捉えられます(図2)。この先、上値を抑えられ仮に本格調整再開となった場合も、さらなる調整は限定的だと考えられます。
(注1)直近値は2024年6月6日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成
ドル円相場、米大統領選挙が転換点となるか
今年最大の注目イベントの一つは米国の大統領選挙です。過去のドル円相場と米国大統領選挙前後の動きをみると、大統領選挙前後でドル円相場の中長期的なトレンドが変化するケースが何度かみられました(図3)。
(注1)直近値は2024年6月3日。 数値は日銀公表値で東京市場、取引時間中ベース。 (注2)縦線は大統領選挙の月。尚、大統領就任は翌年1月。
(出所)日本銀行、各種資料より野村證券投資情報部作成
トランプ氏が勝利した2016年11月のケースでは、ドルは対円で100円前後で底練りだったところから、大幅上昇し、底練り局面を脱することに成功しました。また、現バイデン大統領が勝利した2020年11月以降の動きをみると、翌年1月をボトムとして中長期上昇(円安・ドル高)トレンドに転換したことがわかります。今回は中長期的な上昇(円安ドル高)トレンドが続く中で、大統領選挙まであと約5ヶ月に迫っています。
チャート分析の観点からみれば、これまで続いてきた中長期上昇(円安・ドル高)トレンドは天井形成の可能性に注意が必要な時間帯に入っているとみられます。ドルは対円で、1975年以降は8年前後(83ヶ月~107ヶ月)の周期で主な高値を形成してきました(図4)。
(注1)直近値は2024年6月5日時点。数値は日銀公表値で東京市場、取引時間中ベース。 (注2)日柄は両端含み。(注3)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。
(出所)日本銀行より野村證券投資情報部作成
今年5月高値時点で、前回のサイクル高値(2015年6月)から約9年(108ヶ月)となり、過去5回のサイクルの中で最長の期間となりました。今年5月高値や、この先の高値がサイクル高値となる可能性に注意が必要だと考えられます。
これらチャート分析面に加え、米国の金融政策の転換点が近いとみられることも併せて考慮すれば、米大統領選挙前後がこれまでの円安・ドル高トレンドの転換点となる可能性も考えられます。
(野村證券投資情報部 岩本 竜太郎)