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連続増配企業への投資が注目される

株式市場は時折、様々なリスクにより大きな変動を余儀なくされます。2008年のリーマンショックをはじめ、近年では、2020年の新型コロナ感染拡大や2022年のウクライナをめぐる紛争により、株価は大きな影響を受けました。こうした中、長期的な視点で安定的な配当を得ることを目指す連続増配企業への投資が注目されます。

連続増配企業の強みと企業例

連続増配企業は社歴の長い企業も多く、ブランド力や技術力等を武器に、安定的な利益を創出しうる独自の経営スタイルや販売手法を培い、様々な景気変動や各種のショックを乗り越えてきました。そのため、単年度では減益に陥ることがあっても継続的な配当を続ける実力があり、市場で評価され続けています。その代表格として、花王が挙げられます。同社はトイレタリー国内首位で、日本企業で最長の連続増配年数を維持しています。コーポレートガバナンスやESGに関する情報開示にも積極的で、長期成長を見据えた経営姿勢を明確にしています。

(注1)直近値は2024年5月24日。この結果は過去のものであり将来を保証するものではない。
(注2)連続増配銘柄の合成指数は、2024年5月24日時点で時価総額4,000億円以上、21期以上連続増配している銘柄を等金額投資ベースで計算したもの。連続増配銘柄とは、花王、三菱HCキャピタル、ユー・エス・エス、リンナイ、シスメックス、ユニ・チャーム、東京センチュリー、KDDI、サンドラッグ、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス。
(出所)野村総合研究所、日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

連続増配企業のパフォーマンス

時価総額4,000億円以上、かつ今期会社予想を含め21期以上連続で増配している10銘柄の合成株価指数(等金額)のパフォーマンスは、長期的な視点でみれば日経平均株価を大幅に上回る傾向がみられます。2024年度の日本企業の企業業績は、5期連続の経常増益が予想されており、企業の株主還元拡大の余地は大きいと考えられます。近年では、資本の収益性を意識した経営を強める企業も増加しており、長期的な視点で、連続増配企業への投資が注目されます。

(注1)2024年5月24日時点。投資情報部の判断により、全ての銘柄を記載しているわけではない。(注2)今期会社予想を含めて連続して増配している企業のうち(ユニバースはREIT(上場不動産投資信託)を含む全上場銘柄)、2024年5月24日時点で時価総額4,000億円以上、かつ今期会社予想を含め21期以上連続増配している企業の例。前期と今期予想(最小値)が同じ場合も増配とカウントした。復配や配当開始は回数に含まず、決算期変更を実施した企業も対象に含む。上場以前の配当実施額、資本異動については、完全に網羅されていない可能性がある。(注3)将来の増配を保証するものではない。HDはホールディングスの略。
(出所)野村総合研究所、日本経済新聞社、会社資料より野村證券投資情報部作成

ご参考:日本連続増配企業の一例

  • 花王(4452)
    国内トイレタリーの最大手である。衣料用・住宅用洗剤、おむつ・生理用品などに加え、化粧品・ヘアケアなど幅広い事業を展開する。主要ブランドには、ビオレやアタック、マジックリン、メリーズなどがある。
  • ユー・エス・エス(4732)
    中古自動車取扱事業者を会員とする中古自動車オークションの国内最大手である。2023年のオートオークション市場での出品台数シェアは約4割と業界首位である。
  • リンナイ(5947)
    ガス給湯器、ガスコンロなどガス機器のトップメーカーである。中国や韓国、米国、豪州、アジア各国で現地生産、現地販売の方針をとっており、海外が業績を牽引する。
  • シスメックス(6869)
    臨床検査機器の中でも血液学(血球計数検査=全血球計算=血算、血液凝固検査)分野の世界トップメーカーである。ヘマトロジー(血球計数検査)や血液凝固検査、尿検査等で世界売上シェアトップである。
  • パン・パシフィック・インターナショナルHD(7532)
    「驚安の殿堂」をキャッチフレーズに深夜まで営業する総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営している。仕入れから価格設定、商品構成、陳列に至るまで現場に権限を委譲し、顧客ニーズ等に合わせた迅速な対応を可能にしている。
  • ユニ・チャーム(8113)
    子供用・大人用紙おむつ、生理用品、ペットケア、マスク、ウェットティッシュなど不織布・吸収体製品を製造販売する。主要ブランドには、ムーニーやマミーポコ、ソフィ、ライフリーなどがある。アジア中心に高いシェアを有する。
  • 東京センチュリー(8439)
    情報通信機器に強みをもつ大手リース会社である。伝統的リース事業に留まらず、スペシャルティ事業やオート事業といった専門性の高い事業を営んでおり高い収益性を誇る。
  • 三菱HCキャピタル(8593)
    2021年4月に三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱UFJリースと日立製作所傘下であった日立キャピタルが合併して誕生した大手リース会社である。
  • KDDI(9433)
    総務省統計では、2023年12月末の移動通信系契約数の市場シェアは約31%である。CATVを含む固定系ブロードバンド契約数の市場シェアは約20%(卸を含む)、IP電話を含む固定電話契約数は約22%となっている。
  • サンドラッグ(9989)
    「サンドラッグ」などのドラッグストアを全国規模で展開する大手小売チェーンである。ディスカウントストア「ダイレックス」も手がける。全店舗・物流・ベンダー(メーカー、卸)を結ぶ業界最大級の物流・配送システムがローコストオペレーションを支える。

(注)全てを網羅しているわけではない。HDはホールディングスの略。
(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成

(野村證券投資情報部 寺田 絢子)

ご投資にあたっての注意点