目次
・米国・日本とも業績拡大が株価を支える
・FRBの利下げ開始後ずれ観測が続くも長期金利は落ち着いている
・米国企業業績は二桁増益へ加速
・ユーロ圏の政治リスクは限定的
・賃金と物価の好循環が確認されるか
・日本の主要企業の連続増益見通しは不変

米国・日本とも業績拡大が株価を支える

米国では経済指標の発表毎に、利下げ開始時期への市場の思惑が変化し、長期金利や株価が揺らいできました。一方、その織り込みが進むとともに、S&P500指数に代表される主要株価指数は上昇の勢いが戻り、史上最高値を更新しています。米国はいずれ利下げ局面に入るとみられ、我々は米国株式市場は金融相場から業績相場に、日本株市場も業績拡大が続くことで、株式市場の好環境が持続するとみてきました。現在も、この見方に変更はありません。

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FRBの利下げ開始後ずれ観測が続くも長期金利は落ち着いている

米欧を中心に、これまでの金融引き締めがインフレ抑制の効果として現れており、主要国・地域の景況感は復調が続いています。米国で、住宅価格の上昇は来年以降に物価を再び押し上げる可能性があるものの、足元ではひっ迫していた雇用環境が徐々に緩和しており、消費とインフレは緩やかながらも減速しています。FRBは2024年6月12日に、政策金利の見通しを示すドットチャートで、年内の利下げ回数は1回との見通しを示しました。利下げ開始時期の後ずれ観測が続いていますが、長期金利は落ち着いています

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米国企業業績は二桁増益へ加速

米国主要企業の増益率は目立った減速も無く、順調に拡大しています。2024年終盤には、二桁増益への加速が市場で予想されています。AI関連ビジネスの急拡大に伴い、必要とされる半導体やAIサービスを提供する大手テクノロジー企業が株式市場をけん引しています。

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ユーロ圏の政治リスクは限定的

ユーロ圏ではインフレ率が着実に減速していることを受け、ECBが2024年6月に利下げを実施しました。今後は四半期に1度程度のペースで利下げが行われることを、金利先物も織り込んでいるようです。欧州議会選挙の結果、極右勢力の伸長が懸念されていますが、フランス国債とドイツ国債との利回り差は、懸念する程は広がっていません。中国では不動産分野の問題への取り組みが政府主導で進められており、その進展が注目されます。

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賃金と物価の好循環が確認されるか

日本では、自動車メーカーの品質・認証不正問題への懸念があるものの、製造業の在庫循環は好転局面入りを示唆する位置にあります。歴史的な春闘の賃上げが賃金統計に反映されるのは、これからでしょう。政府の制度変更要因でエネルギー価格の上昇加速が懸念されますが、賃金上昇から幅広く緩やかに物価が上昇する好循環につながるかが注目されます

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日本の主要企業の連続増益見通しは不変

日本銀行は次回7月末の金融政策会合で、国債買い入れの相応の規模の減額を発表するとみられますが、これまでの月間6兆円のペースから5月は既に4.5兆円の実績となっています。長期金利は、今後の金融政策の変更を一定程度織り込んでいるとみられますが、米ドル円相場が円高に転じるタイミングは訪れていないようです。主要企業の業績は連続増益が維持されるとの見方が強く、企業の自社株買いも設定額に対して未実施分が極めて大きなものとなっています。野村證券は、2024年内の日経平均株価のレンジ高値を44,000円と予想します

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投資戦略については、米国では業績拡大がAI関連の大手テクノロジー企業中心から、徐々に幅広い業種へと広がるとみます。日本企業も、在庫循環の好転局面入りが示唆されるなど、良い立ち位置にあります。米国の利下げ開始の後ずれは相当織り込まれたとみます。日米企業業績や金融政策の発表が一巡する中で、あらためて業績拡大への変化の大きな企業に注目します

(野村證券投資情報部 小髙 貴久)

※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 7月号」(発行日:2024年6月24日)「投資戦略の概要」より
※掲載している画像はイメージです。

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