※画像はイメージです。

※2024年8月8日(木)引け後の情報に基づき作成しています。

5日に史上最大の下げ幅となった日経平均

今週(8月5日~)の日経平均株価は、米国景気悪化懸念による米国株安や、一時1ドル=141円台まで急速に円高が進行したことなどを嫌気して、大幅下落となりました。8月5日は、前営業日比4,451円安と史上最大の下げ幅となりました(図1)。

(注1)直近値は2024年8月8日時点。 (注2)出来事の日付は現地時間ベース。7月17・31日の報道は日本時間。(注3) 2024年7月11日・7月12日の為替介入は各種報道を元に記入。(注4)業種別株価は、TOPIX17業種ベース。業種表記は一部略称。

(出所) 日本経済新聞社、 ブルームバーグ、各種資料より野村證券投資情報部作成

フシを次々と下抜けた後、6日に自律反発

チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図2)。

日経平均株価は、今年7月11日高値(取引時間中ベース:42,426円)からチャート上のフシを次々と下抜け、8月5日に一時31,156円まで下落し、約1ヶ月で1万円を超える大幅下落となりました。しかし、25日移動平均線からの乖離率がマイナス20%超え、RSIが11%台など、各種テクニカル指標は軒並み極端な売られ過ぎの水準まで低下したことから、翌6日は一転して自律反発に転じ、歴代1位の上昇幅(上昇率では歴代4位)となる前営業日比で3,217円高の急反発となりました。

(注1)直近値は2024年8月8日。 (注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。  

(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

戻りのメドは3万6000円台後半

次の戻りのメドとして、今年7月以降の下落幅の半値戻し水準(36,791円)や、200日移動平均線(8月8日:36,896円)等が意識されます(図2)。

一方、当面の戻りが鈍く、再度調整となる場合は、8月5日安値(31,156円)に向けて二番底を固めに行く展開が見込まれます(図2)。

超長期トレンドは継続中

歴史的下落を演じた株価ですが、2010年代から続く、超長期上昇トレンド自体は継続中だと考えられます(図3)。

(注1)直近値は2024年8月8日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。  

(出所)日本経済新聞社、各種資料より野村證券投資情報部作成

今回の下落は、これまで概ね下支えとなってきた、5年移動平均線(8月8日:28,492円)以上の価格帯での出来事です。この先、しばらくは、振れ幅の大きい展開が続くとみられますが、徐々に落ち着きを取り戻していくと考えられます。

日経平均は歴史的大幅安 過去の急落局面に学ぶ

今回は、今年7月以降の株価急落と、1987年のブラックマンデーや2008年のリーマンショック、2020年のコロナショック等の過去の急落局面とその後の株価の推移を見てみましょう(図4)。

(注1)直近値は2024年8月8日時点。 (注2)下落局面はすべてを網羅しているわけではない。(注3)ブラックマンデーや、コロナショック時や今回の下落局面は、直前の高値を起点とした。リーマンショックは2008年9月15日であり、その前営業日を起点とした。  

(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

一番深く、長い調整となったのはリーマンショック後の調整ですが、当時は金融危機と呼ばれる状況で、深刻な信用収縮も起こっていました。一方、ブラックマンデーやコロナショック時の株価の動きはどうだったのでしょうか。両ケースともに直前の高値から1ヶ月前後で大底をつけ、その後は一時上値を抑えられる局面はあったものの、半年程度で急落前の高値前後まで値を戻しています。

ブラックマンデー類似なら回復まで半年程度か

過去の経験を参考とすれば、今回は、米国や日本で金融危機や信用収縮は発生しておらず、後者のパターンに当てはまりそうです。この先、8月中は引き続きボラタイルな展開が続く可能性はありますが、時間の経過とともに徐々に下値を固めていくとみられます。その後は、戻り待ちの売りをこなしつつ、年末に向けて本格的な戻り相場入りとなることが期待されます。

(野村證券投資情報部 岩本 竜太郎)

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