※画像はイメージです。
※2024年8月22日(木)引け後の情報に基づき作成しています。
戻り待ちの売りをこなし、4万円回復に向けた動きとなるか
今週の日経平均株価は、米国金利低下に伴う円高・ドル安の進行を受け、一進一退の展開となりました。
チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、8月5日安値(ザラバベース:31,156円)形成後に急反発となりました。15日に今年7月以降の下落幅の半値戻し水準(ザラバベース:36,791円)を達成し、翌16日には200日移動平均線(8月22日:37,158円)や、25日線(同:37,374円)を回復しました。
ただ、過去の累積売買代金が積み上がる5月~6月中旬の保ち合いレンジ(37,617~39,437円)に入り、上昇が鈍っています。 この先、戻り待ちの売りをこなしつつ、まずは75日線(同:38,640円)や、下落幅の2/3戻し水準(38,669円)を明確に上抜けることができるか注目されます。突破となれば、心理的フシの4万円回復に向けた動きとなると考えられます。
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(注1)直近値は2024年8月22日。 (注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成
一方、当面の戻りが一巡し調整再開となった場合は、8月15~16日に空けたマドを埋める水準(36,885円)が下値メドとして挙げられます。仮に同水準を割り込みさらなる調整となった場合は、急落後の戻り局面で一旦上値を抑えられた35,000円前後の水準に向けて二番底を堅めにいく展開が見込まれます。
今年8月安値にかけて歴史的下落を演じた株価ですが、2010年代から続く“超長期上昇トレンド”自体は継続中だと考えられ、今回の調整は一時的な調整だと考えられます(図2)。
この先、しばらくは、振れ幅の大きい展開が続くとみられますが、徐々に落ち着きを取り戻していくと考えられます。
(注1)直近値は2024年8月22日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社、各種資料より野村證券投資情報部作成
米国株今夏の調整どう見る?長期上昇トレンド継続へ
日経平均株価は、急落後に一転急反発となりました。ブラックマンデー時やコロナショック時は高値から約2.5~4ヶ月で半値戻しとなりましたが、今回は1ヶ月強で達成しました。
今回の急落は円キャリー取引の巻き戻しといった需給上の要因が大きかったとみられ、それらが一巡したと考えられることに加えて、米国で景気悪化懸念が後退して株価が堅調な推移となっていることも、戻りが早かった要因の一つとして考えられます。ここでは日本株の急反発を導いた米国株の動き、特にナスダック総合指数に注目します。
ナスダック総合指数は、今年7月高値(18,647pt)から8月安値(16,195pt)まで調整し、下落率は13.1%となりました(図3)。ただ、この調整は長期上昇トレンド内の一時的なものと捉えられます。
まず、これまでの長期上昇局面(20/3~21/11及び22/12~)では、一時的な調整が6度(今回を除く)ありましたが、その際の下落率は7.1~12.3%であり、今回はレンジをやや上回りましたが同等の規模に留まっています。
また、今回は26週移動平均線を一時割り込んだものの、早期奪回に成功しました。これも過去の一時的調整時に何度かみられた動きです。調整時に26・52週線が共に上向きを維持していることも考慮すれば、今回の調整は長期上昇トレンドが続く中での一時的な調整だと考えられます。
8月21日時点で、今年7月につけた史上最高値のある18,000pt台に接近しています。2022年12月にスタートした長期トレンド自体(上昇率:83%)も前回の長期トレンド(上昇率:134%)と比較すれば、さらなる上昇の余地があると考えられ、今後の動向が注目されます。
(注1)直近値は2024年8月21日。 (注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)ナスダックより野村證券投資情報部作成
※筆者の都合により、次回の【今週のチャート分析】は9月6日(金)の配信を予定しています。
(野村證券投資情報部 岩本 竜太郎)