来週の注目点:米国の個人消費、日本の生産とドイツの実質GDP

最近のFRB(米連邦準備理事会)高官の発言からは、9月17日(火)~18日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%ポイントの利下げ実施で意見が集約されつつある様子がうかがえます。このため、市場の関心は今後の利下げペースや政策金利の着地点へと移行することが予想されます。利下げペースに関してFRBは、インフレ動向よりも雇用統計など景気動向を重視すると考えられます。

米国では利上げの影響が家計マインドの悪化や住宅販売の不振として顕在化しています。このため、27日(火)の8月コンファレンスボード消費者信頼感指数、29日(木)の7月中古住宅販売仮契約、30日(金)の8月ミシガン大消費者マインド(確報値)などに加えて、同じく30日発表の7月個人消費支出・所得統計が市場の注目を集めそうです。FRBがインフレ指標として重視しているコアPCE(食品・エネルギーを除く個人消費支出)デフレーターの減速と同時に、消費下振れ懸念が高まるようならば、市場では9月FOMCで0.5%ポイントの利下げ観測が再燃する可能性もありそうです。

日本では金融政策の判断材料として30日(金)の8月東京都区部消費者物価指数、景気の一致指標として7月鉱工業生産が注目されます。6月の生産が前月比-4.2%(確報)と落ち込んだ一因は一部大手自動車メーカーの認証不正問題の影響でした。経済産業省の調査では自動車生産を含む輸送工業の生産計画は7月、8月とも前月比マイナスとなっています。自動車関連を除いても生産回復が思わしくない結果になれば、市場の景気回復期待に水を差すリスクがあります。

ユーロ圏では26日(月)のドイツの8月Ifo企業景況感指数と27日(火)の4-6月期実質GDP詳報、30日(金)のユーロ圏8月消費者物価指数が注目されます。ドイツの4-6月期実質GDP(速報値)は市場予想(前期比+0.1%)に反して同-0.1%と落ち込みました。詳報では各需要項目の内訳が確認できるため、今後の景気動向を予想する上で重要なヒントを得ることができます。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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