父の死亡により受け取った保険金、相続税の課税対象かと思いきや契約者と保険金受取人の組み合わせによって課される税金の種類が異なると聞きました。どのような場合に、どのような税金になるのか大手町トラストの税理士に伺いました。
(注)画像はイメージです。
はじめに
被保険者の死亡により死亡保険金を受取った場合は、保険の契約形態により課される税金が相続税、贈与税、所得税・住民税と異なります。
死亡保険金に係る税金
「被保険者を父」とする生命保険契約であっても、「契約者(保険料負担者)」と「保険金受取人」が誰であるかによって相続税(非課税の適用あり・なし)、贈与税、所得税・住民税と課される税金が異なります。
死亡保険金を受取った時の契約形態別課税関係
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ケース 1 契約者:父、被保険者:父で、父が死亡した場合に、子が保険金受取人である場合
- 子が受け取る死亡保険金:相続税の対象(死亡保険金の非課税の適用あり)
- 死亡保険金の非課税限度額:500万円×法定相続人の数
ケース 2 契約者:父、被保険者:父で、父が死亡した場合に、孫が保険金受取人である場合
- 孫が受け取る死亡保険金:相続税の対象(孫は相続人でないため、死亡保険金の非課税の適用なし)
- 孫が支払う相続税は2割加算(被相続人の一親等の血族・配偶者に該当しないため)
ケース 3 契約者:母、被保険者:父で、父が死亡した場合に、子が保険金受取人である場合
- 子が受け取る死亡保険金:贈与税の対象
(契約者(母)が支払った保険料に対し、子が保険金を受取ることから、母から子への保険金贈与となるため)
ケース 4 契約者:子、被保険者:父で、父が死亡した場合に、子が保険金受取人である場合
- 子が受け取る死亡保険金:「一時所得」として所得税・住民税の対象
(契約者(子)が支払った保険料に対し、子本人に保険金が支払われるため) - 一時所得の計算方法:{(死亡保険金-払込保険料)-特別控除額(最高50万円)}×1/2
まとめ
相続税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に現金で納付することが原則となっています。そのため、すぐに受取人に支払われる死亡保険金は相続税の納税財源として有効です。
また、財産を遺したい人を死亡保険金の受取人に指定することにより、その受取人に死亡保険金(現金)を渡すことができますので、生命保険契約における受取人の指定は遺言と似た効果があります。
契約者と保険金受取人の関係を考慮して相続対策をされるとよいでしょう。
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