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2024年米国大統領・議会選挙

米大統領選挙は大接戦

米国の大統領・議会選挙は11月5日の投開票に向けて、いよいよ大詰めを迎えています。各種世論調査を見ると、大統領選挙は依然として接戦が続いている模様です。全米での支持率では民主党大統領候補であるハリス副大統領が、共和党大統領候補のトランプ前大統領を終始リードしています。ただし、両者の差は2%を下回っています。この種の世論調査では2-3%程度の統計誤差があることを勘案すると、決して有意な差とは言えません。

大統領選挙のたびに勝者が変わりやすいためスイングステートと呼ばれ、今回も激戦が予想される主要7州の支持率を見ると、ここにきてトランプ氏が巻き返している様子が確認できます。スイングステートの中でも民主党が相対的に優位な「青い壁(ブルーウォール)」と呼ばれる3州(ミシガン、ウィスコンシン、ペンシルベニア)に関してはハリス氏の優勢が続いてきましたが、その差は文字通り誤差の範囲内となっており、特に最大の選挙人が割り当てられているペンシルべニア州ではトランプ氏が逆転し、各州の選挙人を現在の調査結果に基づいて割り振るとトランプ氏が62人、ハリス氏が31人となります。

(注)支持率はFiveThirtyEightによる調査で、表中の数値は2024年10月21日時点。全米に加えて、激戦が予想される7つの州を抽出。支持率は各大統領候補者に対する評価で、それぞれ優勢な候補者の支持率を塗りつぶしている。
(出所)FiveThirtyEight、各種資料より野村證券投資情報部作成

議会選挙は上院は共和党優位・下院は依然拮抗

米国議会は現在、上院は民主党、下院は共和党が過半数を占める「ねじれ議会」の状況にあります。上院の改選議席は民主党が23議席(無所属の4議席を含む)、共和党は11議席です。下院は全435議席が改選になります。各種世論調査では、上院はやや共和党が優勢、下院は依然として拮抗しています。通常、下院選挙は大統領候補の全国支持率が結果に影響しやすい傾向にあるため、ハリス氏が大統領選に勝利すれば、下院でも民主党が票を伸ばす可能性があります。一方で、上院は州毎の戦いとなる傾向にあり、大統領選の結果は影響しにくいと見られています。このため、現在の状況を踏まえると、ハリス氏が勝利した場合でも議会はねじれ議会となる可能性がある一方、トランプ氏が勝利した場合は上院、下院でも共和党が過半数を占める「レッドスウィープ」となる可能性がありそうです。

(注)2024年の上院議員では、無所属の4議席も改選される。選挙区情勢は2024年10月21日時点。
(出所)270toWINより野村證券投資情報部作成

足元の市場では、長期金利上昇、ドル高など、トランプ氏勝利の可能性を意識し始めた様子が伺われます。ただし、期待先行で織り込みが進むほど、期待外れの結果となった際の反動が大きくなる可能性もあることから注意が必要です。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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