※執筆時点 日本時間25日(金)12:00

今週:好調な経済→利下げ先送り観測

※10月18日(金)- 10月24日(木)4営業日の騰落

好調な経済指標を受けた、FRB(米連邦準備理事会)高官による利下げ先送りの示唆などにより長期金利が上昇し、米国株3指数は軟調でした。

来週:決算発表が本格化

政治に揺れる市場

米大統領選が大詰めを迎える中で、トランプ候補が勝利するとの見方が強まり米金利が上昇し、円安ドル高圧力と米国株の下押し圧力となっています。米国では大統領選に向けた世論調査やオンライン予想サイトの動向が引き続き焦点となりそうです。

雇用統計を中心に経済指標に注目

経済指標面では11月1日(金)雇用統計が重要です。ハリケーンの影響から雇用が伸び悩む可能性があることから、市場コンセンサスは前月比12.0万人増と9月(同25.4万人増)から減速する予想となっています。ハリケーンの影響によるかく乱もあり、FRBの政策姿勢への影響は限定的となりそうですが、雇用の増加ペースが10万人を切った場合や失業率が上昇した場合、利下げ期待の回復に寄与しそうです。

10月31日(木)コアPCE(個人消費支出)デフレーターや、11月1日(金)ISM製造業景気指数なども注目ですが、大統領選が近づく中、相場の反応は限られそうです。なお、FRBは10月26日(金)からブラックアウト(発言自粛期間)入りとなります。

GAFAM決算で霧は晴れるか

来週以降、米国企業の2024年7-9月期決算を発表がピークを迎えます。特にテクノロジー大手のアルファベット(10月29日/GOOGL)、マイクロソフト (10月30日/MSFT)、メタ・プラットフォームズ(10月30日/META)、アマゾン・ドットコム(10月31日/AMZN)、アップル(10月31日/AAPL)の決算からは、AIやクラウド、Eコマース、スマホといった成長テーマの持続性への示唆に注目です。

前回決算はYoutubeやECなどが弱含み、AI好調

前回決算(4-6月期決算を指し、来週から始まる7-9月決算の内容でないことには注意)を振り返りましょう。

(注)GAFAMは、アルファベット(旧グーグル)、アマゾン、メタ(旧フェイスブック)、アップル、マイクロソフトを指す。決算発表は各社とも引け後。灰色の網掛けは株価騰落率がマイナス、もしくは、業績の実績が市場予想を下回った場合。決算のポイントの灰色の太字はネガティブな内容。決算のポイントはすべてを網羅しているわけではない。アルファベットの株価騰落率はA株。純利益市場予想の変化額は、2024年7月1日(決算発表前)と2024年8月2日(決算発表後)時点の比較で、期間は暦年(1-12月期)、LSEG集計による市場予想平均。 (出所)会社資料、ウルフ・リサーチ社、LSEGより野村證券投資情報部作成

AIが広告・クラウドの収益に貢献 

アルファベットは、主力の検索広告やクラウド事業が好調で、それらを含むすべての事業でAIがイノベーションを起こしている、とコメントしました。メタは、SNS広告事業において前年同期比でユーザー数と広告単価がともに増加した理由としてAIアシスタントの利用拡大を挙げ、2024年末に世界で最も利用されるAIアシスタントになるとコメントしました。

マイクロソフトのクラウド部門の売上高は市場予想を下回りました。中核の「アジュール」のAIサービスの収益化が遅れているとみられますが、会社は2025年6月期下半期(2025年1-6月期)にアジュールの成長が加速するとコメントしました。

Eコマースは高インフレ継続による消費者の低価格志向が逆風 

アマゾンのEコマース事業の売上高は市場予想を下回りました。会社は、長引く高インフレを背景に想定以上の消費者の低価格志向が販売単価の低下につながり、高価格帯商品のPCや電子機器の販売が好調でも好景気時に比べて売上高成長率の鈍化がみられたとコメントしました。

AI関連の設備投資は増額へ

各社ともAI関連の設備投資の増額に言及し、アップル(ほぼ横ばい)を除く4社の設備投資額の市場予想は、決算発表後に2024年1-12月期予想、2025年1-12月期予想ともに上方修正されました。

これらの大手企業は、AIの活用などにより収益を拡大させ、その利益を基に設備投資額を増やし、さらに成長することが期待されています。この成長の好循環は、エヌビディア(11月下旬に決算発表予定/NVDA)など設備投資の受け皿企業にとっても重要です。

(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

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