※執筆時点 日本時間11月1日(金)12:00
今週:週後半のハイテク決算が重石
※10月25日(金)- 10月31日(木)4営業日の騰落
週後半には米大手ハイテクの決算が相次ぎました。GAFAM(アルファベット、アップル、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドットコム、マイクロソフト)のうちアルファベット、アマゾンは決算発表翌日の10月31日(木)に上昇で反応したものの、そのほかは下落で反応しており、市場の高い成長期待に応えられなかった側面があります。
来週:いよいよ米大統領選挙
政治に揺れる市場
米大統領選挙が5日(火)に行われます。これまでの例を踏まえると、日本時間6日(水)の日中にわたり開票が進み、夕方頃に大勢が反映する見込みです。接戦となった場合には結果判明が日本時間の7日(木)にもつれ込む可能性もあります。
接戦7州は僅差でトランプ氏優勢
ここ数日は、接戦7州の世論調査において、いずれの州でもトランプ候補がハリス候補をリードしています。ただし、その差は僅差であり、勝敗の行方は見通しづらい状況が続いています。
市場経済への影響
トランプ候補勝利となれば、積極的な財政政策や減税を理由に、株価の初動は上昇で反応する可能性が考えられます。ただし、追加関税が課されることで輸入物価が上昇することにより徐々にインフレが再加速し、金利も上昇(株価には下押し圧力)することが想定されます。
一方でハリス候補勝利となれば、規制強化などの流れを受けて株価の初動は下落で反応する可能性が考えられます。ただし、下院では共和党が多数派となる可能性が高く、厳しい産業規制等の政策実現は難航することが予想され財政・金融政策は「現状維持」となることが想定されます。
「トランプ・インフレ」はあるか?
仮にトランプ氏が当選した場合に懸念されるインフレと金利上昇はどの程度でしょうか?当社米国拠点は、トランプ氏が標榜する「中国に対して60%、他の全世界に対して10%」の追加関税が課されれば、米国のインフレは1%ポイント押し上げられると試算しており、足元の市場(インフレスワップ市場:インフレ率を対象とする金融派生商品を取引する市場)では織り込みが進んでいません。関税が実現すればインフレを再加速の織り込みが進む展開となりそうです。
ただし、金利に関しては2016年や2020年の大統領選との経済環境の違いも重要です。2016年や2020年には大統領選後、金利が2段階で上昇しました。1段階目は米国債増発によるタームプレミアム(期間に伴う上乗せ金利)の拡大、2段階目は景気・インフレの再上昇に伴う政策金利期待の上昇でした。金利上昇をより持続的なものにさせたのは、この2段階目と考えられます。2016年や2020年と比較し今回が大きく異なる点として、金融政策が既に引き締め的な領域にあることが挙げられます。利下げ期待がある程度剥落すれば金融環境は引き締まり、株価下落が強まるため、当時のような数年にわたる金利上昇は考えづらいと想定されます。
参考:GAFAM決算振り返り
以下に、今週速報でお伝えしてきたGAFAMの決算サマリーを再掲いたします。今後の投資の参考にご活用ください。株価は発表日の時間外取引(発表は引け後)の騰落であることに注意ください。
アルファベット(GOOGL)検索広告・クラウドの成長をAIがけん引、株価は+5.72%(時間外取引)
(注)EPSは米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。
(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成
アマゾン・ドットコム(AMZN):小売堅調・AWSも順調、株価は+5.74%(時間外取引)
(注)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。
(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成
マイクロソフト(MSFT):アジュールの成長が一時的に鈍化へ、株価は-4.23%(時間外取引)
(注1)EPSは米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。
(注2)部門別売上高の市場予想比は、市場予想が2024年8月の部門再編を反映しないため記載せず。
(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成
アップル(AAPL):iPhone販売堅調・見通しは慎重、株価は-1.73%(時間外取引)
(注)EPSはEUの追徴課税の影響を除いた非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。
時点。
(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成
メタ・プラットフォームズ(META):AI関連の支出が増加へ、株価は-3.13%(時間外取引)
(注)EPSは米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。
(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)