(注)画像はイメージです。

海外市場の振り返り

19日の欧米の金融市場では、ウクライナ軍によるロシアの軍事施設へのミサイル攻撃を契機に地政学的な緊張が高まり、株式などリスク資産から安全資産へと資金を移す「質への逃避」の動きが見られました。欧州市場では独国債が買われ、欧州株は下落しました。米国市場でも米10年物国債利回りが一時4.33%台まで低下し、NYダウは一時下げ幅を450ドルまで広げました。その後、ウクライナを巡る緊張の緩和や、寄り前発表の米小売大手ウォルマート(WMT)の好決算が好感されたことを受けて株価は切り返し、20日に決算発表を迎えるエヌビディア(NVDA)などテクノロジー株の上昇も相場の支えとなりました。NYダウの終値は前日比0.27%安となりましたが、テクノロジー株比率が高いナスダック総合は続伸となりました。為替市場でもリスク回避の動きが強まり、一時1ドル=153円台前半まで円高となりましたが、その後154円台後半まで値を戻しました。

相場の注目点

ウクライナ軍は19日(ウクライナ侵攻開始から1000日目に相当)、米国から供与された長距離地対地ミサイル「ATACMS」でロシア西部の軍事施設を攻撃しました。同ミサイルによるロシア領内への攻撃は初めてです。これに対してロシアのプーチン大統領が通常兵器による大規模攻撃に対する核の使用を可能にする大統領令に署名したと伝わり、緊張が高まりました。その後、ロシアのラブロフ外相が「核戦争が起きないというのがロシアの立場だ」と発言し、核戦争の勃発を阻止する意向を示したことで、緊張が緩和しました。なお、ユーラシアグループの報道によればロシアが戦術核兵器を使用する可能性は非常に低いとしています。今後もウクライナを巡る地政学リスクには注意が必要です。その他には、AI向け半導体大手のエヌビディアが20日、決算発表を行います。AIビジネスの現状と持続可能性の観点から注目されます。

(野村證券 投資情報部 坪川 一浩)

(注)データは日本時間2024年11月20日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

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