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2024年は日経平均株価が2月22日に終値ベースで約34年ぶりに資産バブル期の史上最高値を更新し、3月4日に史上初の4万円台超え、7月11日には42,224.02円(終値)を記録しました。ちなみに、TOPIXの史上最高値更新は、2024年7月4日で、過去最高値は7月11日の2,929.17ポイント(終値)でした。
2024年当時の背景を振り返ると、2月21日に米半導体大手エヌビディアが好決算を発表したことや、7月11日に為替介入が実施されるまでは、1米ドル=161円台の円安下にあったことが象徴的です。
12ヶ月先予想PER(株価収益率、以下、PER)は、2023年12月の14倍台から2024年2月に16倍台へと切り上がりました。PERは、株式市場の期待が強まる局面で高まりやすく、企業業績の安定性や成長性への信頼のバロメーターとみなせます。一方、経験的な水準からの上方乖離は、株価の割高さを示すとも言われます。PER16倍は割高のシグナルでしょうか。それとも、妥当な水準だったのでしょうか。
2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略」で、コーポレート・ガバナンスの強化が成長戦略と位置付けられ、約10年後の2023年3月に、東京証券取引所は、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」、所謂「東証要請」を公表しました。
そこでは、資本コストや資本収益性を様々な指標を使い経営者自らが主体的に分析・評価した上で、要請に取り組むことが求められています。結果として、PERやPBR(株価純資産倍率)などにみる市場評価が高まることが期待されています。
上記の2024年に日経平均株価が史上最高値を更新し、PERが上昇した時も、企業の取り組みが評価された結果との市場の評価もありました。もし、それが実現されるならば、日本株市場のPERの切り上り後の水準は、維持され得たとみるべきです。
2025年は米国のトランプ新政権の発足による政策の不透明さ、日本では少数与党政権や日銀による利上げの可能性など、株価のボラティリティー(変動率)を高め、PERを下げる可能性のあるイベントが多々あります。しかし、東証が要請するのは、外部要因に寄らない、企業のたゆまぬ価値向上への努力と、それによる市場が株価で示す確固たる評価です。
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(注)データは月次で、月末値。直近の値は2024年12月。
(出所)日本経済新聞社、野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成