(注)画像はイメージです。
海外市場の振り返り
17日の米国株式市場では主要3指数が揃って反発しました。トランプ次期大統領と中国の習近平国家主席が電話会談を行ったとの報道から、トランプ氏の大統領就任に伴って米中間の対立が更に激化するのではとの懸念が若干後退したことが株高に寄与したと見られます。米国債市場では主要指標が良好だったことを受けて短期債中心に金利が上昇、米ドルは主要通貨に対して全面高となりました。トランプ次期政権の通商政策では、日本への悪影響が相対的に小さいとの見方からクロス円(対ドル以外の円相場)が上昇基調にあった反動から、円は主要通貨に対してほぼ全面安の展開となりました。
相場の注目点
米国では20日11時半(日本時間21日午前1時半)に正副大統領の就任式が開催されます。市場ではトランプ次期大統領の就任演説と大統領令の発令に関心が集まっています。先週、日銀の植田総裁、氷見野副総裁はそれぞれ、トランプ次期大統領就任後に市場が混乱するようなことがなければ、1月23-24日の金融政策決定会合で利上げを行う可能性があることを示唆しました。米国市場ではトランプ政権の発足を控えて、長期債を保有することに対するリスクを表す長期国債のタームプレミアムが上昇してきました。仮に就任式でのトランプ氏の発言が市場の懸念後退につながるならば、米国では長期金利低下と株高につながり、日銀の利上げ期待から17日とは異なり米ドル円市場は円高の反応を示す可能性があります。ただし、AP通信は「就任初日に100件を超える大統領令を準備している」と報じたことを受けて、市場の警戒感が高まっています。20日の米国市場はキング牧師生誕記念日の休場のため、21日の日本市場が世界で最も早く大統領令の影響を織り込むことになる可能性があります。
(野村證券 投資情報部 尾畑 秀一)
(注)データは日本時間2025年1月20日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。