FRB金利据え置き、議長「利下げ急がず」

FRB(米連邦準備理事会)は1月28、29日に開催したFOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を4.25-4.50%に据え置くことを決定しました。FRBは2024年9月から3会合連続で、合計1.0%ポイントの利下げを実施してきており、今利下げ局面で初めての利下げ見送りでしたが、事前に広く予想されていたことから市場にとってサプライズとはなりませんでした。

今回の声明文では12月のFOMCで見られた「物価上昇率が2%目標に向かって前進を続けてきた」との文言が削除されたことを受けて、市場では一時国債利回りが上昇し、米国株は下落しました。会合後に開催された記者会見でパウエルFRB議長がFRBは利下げを急いでおらず、「インフレ面でのさらなる進展を見極めるため連続利下げをいったん停止する」と説明したことを受け、国債利回りは前日とほぼ変わらない水準まで低下しました。

FRBは24年12月に2025年中に0.5%ポイント、1回当たりの利下げ幅を0.25%ポイントとした場合、2回の利下げを実施するとの見通しを示しました(19名のFOMCメンバーによる見通しの中央値)。先物金利を見ると、足元の市場でも概ね同様の見方が共有されているようです。野村證券では、今回の声明文が従来見ていたよりもタカ派的(利下げに消極的)であったことを踏まえて、金融政策の見通しを変更しました。従来は25年中は3月に0.25%ポイント利下げし、その後据え置きに転じると予想してきましたが、新しい見通しでは25年中は金利据え置きを予想します。26年に関しては、「1-3月期、4-6月期に1回ずつの利下げ」との見通しを、「6月から3ヶ月に1度のペースで3回の利下げ」へと変更します。利下げ幅はいずれも0.25%ポイントを予想しています。

米国の政策金利見通し

(注)データは日次で、直近の値は2025年1月29日。政策金利はFF(フェデラル・ファンド)金利翌日物のレンジの中央値。FF金先はFF金利先物。
(出所)FRB、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

ご投資にあたっての注意点