※画像はイメージです。
※2025年1月30日(木)引け後の情報に基づき作成しています。
保ち合い上限突破となれば史上最高値回復も視野に
今週の日経平均株価は、中国の低コストかつ高性能な生成AI開発に関する報道を受けてハイテク株を中心に下落しました。
チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、騰落レシオなど一部のテクニカル指標が短期的な売られ過ぎ水準に接近したことなどから、1月17日安値(38,055円)形成後に反発し、23日に4万円を一時回復しました。
その後、27~28日に中国の生成AI開発に関する報道を受けて下落し、昨年9月下旬以降の保ち合い上限である4万円超水準の壁の厚さが示されました。
ただ、28日安値(38,886円)形成後は再び上昇に転じています。各種テクニカル指標に過熱感はなく、保ち合い相場入りから既に4カ月が経過し日柄調整も十分となっており、この先、昨年12月27日高値(ザラバベース40,398円)を上抜けし、保ち合い上限を突破することができるか注目されます。上抜けとなれば、7月11日につけた史上最高値(ザラバベース:42,426円)を視野に入れる動きとなると考えられます。
一方で、目先の上値が重く再度25日線(1月30日:39,314円)を下回って調整が続く場合は、75日線(同:39,038円)や200日線(同:38,640円)などが下値のメドになると考えられます。
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(注1)直近値は2025年1月30日。 (注2)日柄は両端を含む。 (注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成
ナスダック一時大幅安も、中長期上昇トレンドが継続中
ナスダック総合指数は、1月27日に前日比で600ポイントを超える大幅な下落を記録しました(図2)。原因は、中国のAI開発企業から低コストで高性能なAIが登場したことにより、今後のAI関連の設備投資が減少するのではないかという懸念が広がったためです。しかし、翌日は開発コスト低下がAI普及に繋がるとの見方が広がり、反発に転じました。今回は、チャートを基にこれまでの動きを振り返ってみたいと思います。
(注1)直近値は2025年1月29日。 (注2)トレンドライン等には主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)ナスダックより野村證券投資情報部作成
ナスダック指数は、2022年12月の安値(10,213ポイント)から24年12月の高値(20,173ポイント)にかけて、約2年で約2倍にまで上昇しました(図3)。過去の中長期上昇局面は、リーマンショック以降に5回(図3:①~⑤)見られましたが、その中でコロナショック時の高値形成(同:④)を除くと、株価は安値から1.9倍から2.3倍に上昇しています。
今回は24年12月高値時点で最低水準の1.9倍を超えてますが、前回の上昇倍率の2.3倍を当てはめると、23,489ポイントになると試算され、さらなる上昇余地があると考えられます。
(注1)直近値は2025年1月29日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。
(出所)ナスダックより野村證券投資情報部作成
昨年12月には心理的な節目である20,000ポイントに達し、高値に対する警戒感が高まっています。その後は市場が神経質な動きを見せていますが、昨年12月の高値形成以降の調整は、13週移動平均線(1月29日:19,482ポイント)前後までの調整に留まっています(図4)。
昨年4月や8月の調整時は13週線を下回ったものの、26週線前後(同:18,669ポイント)から反発して中長期的な上昇トレンドに戻りました。現状はそれら調整の範囲内に留まっており、今回の調整も中長期上昇トレンド内の一時的調整と考えられます。この先、26週線近くまでの調整があるかもしれませんが、中長期上昇トレンドは続くと予想されます。
(注1)直近値は2025年1月29日。 (注2)日柄は両端を含む。 (注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)ナスダックより野村證券投資情報部作成
(野村證券投資情報部 岩本 竜太郎)