来週の注目点:追加関税の帰趨、米主要経済指標
1月28日(火)~29日(水)のFOMCでは、大方の予想通り政策金利は据え置かれました。パウエルFRB議長は記者会見で、トランプ政権による関税政策が経済に与える影響を見極めて行く姿勢を示しました。また、現在の金融政策が引き締め的であるとの認識を示しながらも、「政策調整を急ぐ必要はない」として目先の利下げには慎重な姿勢を示しました。
今後の利下げ時期について目立った手掛かりを得られない中、米国ではトランプ政権の動向、景気・インフレ動向が注目を集めそうです。大統領就任初日の関税発動は回避されたとはいえ、カナダ、メキシコ、中国などへの追加関税を2月1日(土)に発動する意向を示しています。仮に、関税が発動された場合には米金利上昇とドル高圧力、回避された場合には米金利低下とドル安圧力が強まると見ています。
米国の経済指標では、2月3日(月)の1月ISM製造業景気指数、5日(水)の1月ADP全米雇用レポート、1月ISMサービス業景気指数、7日(金)の1月雇用統計、2月ミシガン大学消費者マインド速報値に注目です。また、3日(月)から5日(水)にかけて予定されているFRB高官の講演は今後の利下げ時期や回数を探る上で注目を集めます。
日本では、3日(月)に1月日銀金融政策決定会合における主な意見、5日(水)には24年12月毎月勤労統計が発表されます。好調な冬季賞与に伴い、1人当たり名目賃金は11月から加速したと予想します。日銀の政策判断にも影響する可能性があり、注目です。
中国では旧正月(春節)を迎え、2月4日(火)まで休場となります。経済指標は、3日(月)の1月財新版製造業PMI、5日(水)の1月財新版サービス業PMIに注目です。トランプ政権による関税引き上げが懸念される中、輸出の前倒しが製造業の景気を下支えしてきました。しかし、2月に追加関税が課された場合には輸出が勢いを失う可能性があり、中国景気に対する懸念が更に強まる可能性があります。
(野村證券投資情報部 坪川 一浩)
(注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年1月31日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(注2)画像はイメージです。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成