※画像はイメージです。

下表は、米国IT大手6社の直近の四半期決算概要で、下記のような傾向がみられました:
①クラウド事業の売上高が市場予想を下回った
②AIを活用した広告事業が堅調
③スマホのAI機能への需要は強い
④ディープシーク・ショック後もAI設備投資増加

(注)灰色の文字はネガティブな内容。ポイントは全てを網羅している訳ではない。決算期は、エヌビディアは24年11月-25年1月期、その他は24年10-12月期。
(出所)会社資料、ウルフ・リサーチ社、 LSEGより野村證券投資情報部作成

決算発表翌日の株価は、メタ・プラットフォームズ(以下、メタ)が上昇し、他5社は下落しました。特に株価の下落率の大きかったアルファベット、アマゾン・ドットコム(以下、アマゾン)、マイクロソフトは、クラウド事業の売上高が市場予想を下回りました。各社とも、エヌビディアの新型AI用半導体製品「ブラックウェル」の供給遅延を念頭に、AI・クラウドサービスへの顧客の需要が強い一方で供給制約が悪影響を与えたとコメントしました。エヌビディアはブラックウェルについて、110億ドル分を出荷済みで、高品質AI用の「驚異的」な需要を背景に25年後半にかけて増産すると説明しました(エヌビディア株の下落は米対中関税の強化方針の発表日と重なったことも要因と考えられます)。

メタのSNS広告(インスタグラムやフェイスブックなど)や、アルファベットのグーグル検索広告などは堅調でした。アルファベットは、AIによる要約機能や画像の一部についての検索などの新機能がユーザーの満足度向上につながった、とコメントしました。

アップルの売上高は、中国で軟調、その他の地域で堅調でした。会社はAI機能の「アップル・インテリジェンス」や「ChatGPT」が中国では規制により利用できないことなどが原因とコメントしました。中国とその他の地域の差は、消費者のスマホのAI機能への需要の高さを浮き彫りにしたと考えられます。

25年1月の各社決算発表前に、中国のディープシークが開発した低価格のAIシステム「R1」の普及により、AI製品の価格に下押し圧力がかかり、AI関連の設備投資額が減少するとの懸念が台頭しました(ディープシーク・ショック)。しかし、各社とも設備投資の増額をコメントし、下図からは、各社の純利益額が、設備投資額にやや遅れて増加すると市場がみていることが分かります。

(注)期間は暦年(1-12月期)。予想はLSEG集計による25年2月27日時点の市場予想平均。矢印は設備投資拡大後に純利益が増加する予想であることを強調。
アップルは概ねファブレス(設計や企画が中心で工場を持たない企業)のため、設備投資の多くは関連企業が行う。
(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成

AIビジネスは、ディープシークのような新しい競合の登場や、より高品質なAI製品への需要増加により、新たな拡大局面に入ったと考えられます。

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