※画像はイメージです。

※2025年2月11日(木)引け後の情報に基づき作成しています。

日経平均株価、RSI等の各種テクニカル指標は引き続き低水準

今週の日経平均株価は、先週末の2月28日に前日比で1,100円安となる大幅下落した反動で反発となりました。ただメキシコやカナダ等に対するトランプ関税の発動や、円高・ドル安を受けて、3月4日に一時大幅安となるなど引き続き振れ幅の大きい展開となりました。

チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、1月24日高値(40,279円)形成後に調整となり、2月28日に昨秋以降の保ち合い下限(37,700~800円前後)を割り込みました。さらに一時36,840円まで下落したことで、昨年8月安値から12月高値までの上昇幅に対する38.2%押し(黄金分割比率)の水準(ザラバベース:36,867円)を達成しました。

仮にこの先3月4日安値(36,816円)を割り込み、さらなる調整となった場合は、同50%押し(同:35,777円)や、9月9日安値(35,247円)の水準が下値メドとして挙げられます。一方で、2月28日大幅下落後は、同日安値(36,840円)と3月4日安値(36,816円)の水準で下げ渋りの動きとなっています。RSI等の各種テクニカル指標は引き続き低水準であり、調整一巡後に2月末に下抜けした保ち合い下限(37,700~800円前後)の水準を超えて、200日移動平均線(3月6日:38,655円)を回復することができるか注目されます。

※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。

(注1)直近値は2025年3月6日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

波乱の日経平均株価、でも見逃せない超長期上昇トレンド

日経平均株価は、2月下旬に米国のトランプ関税による米景気悪化懸念等を受けて大幅安となりました。それら調整によって、39,000円前後の水準に収束していた13・26・52週移動平均線を大きく下抜けし、昨秋から続く保ち合いの下限(37,700-800円)も割り込みました(図2)。このようにチャート悪化のシグナルがみられており、この先、一旦戻りを入れる場合も、これらフシや移動平均線の水準では戻り待ちの売りに上値を抑えられる可能性もあり、注意が必要だと言えそうです。

(注1)直近値は2025年3月6日。 (注2)日柄は両端を含む。 (注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

しかし、ここで忘れてはならないのは、これら短・中期的な動きを内包する超長期トレンドが上向きであるということです。日経平均株価は、2010年代から強気シグナルが複数(図3中:①~②)みられています。足元で30年線をはじめとする主要な長期移動平均線は全て上向きであり、現在、超長期トレンドは上向きであると考えられます(図3)。

2015年のチャイナショック時や昨年夏の急落等、これまで何度も大幅下落を経験してきましたが、超長期上昇トレンドがショックを吸収してきました。

(注1)直近値は2025年3月6日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社、各種資料より野村證券投資情報部作成

超長期トレンドが上向きとなっている背景の一つに賃金と物価の好循環が回りはじめているという点が挙げられます。2024年に日本の名目GDPは初めて600兆円を超えましたが、今後実質賃金が安定的にプラスとなり個人消費の拡大につながれば、更なる経済成長が期待されます(図4)。

日経平均株価は当面振れ幅の大きい動きが続く可能性が高いと考えられますが、今一度株価の大きなトレンドを確認し、長期の視点で物事を考えていきたいものです。

(注1)日経平均株価は日次で、直近値は2025年 2月20日。名目GDPは四半期で季節調整済みの年率で、直近値は2024年10-12月期。
(出所)日本経済新聞社、内閣府より野村證券投資情報部作成

(野村證券投資情報部 岩本 竜太郎)

【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら

ご投資にあたっての注意点