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金融市場では、就任早々から保護主義政策を前面に押し出すトランプ大統領の政策運営に対する不透明感が嫌気されています。関税引き上げ合戦の果てのインフレ再燃と景気悪化への懸念の強まりから、米国株式市場は2月中旬以降、「No」を突き付けるかの如く調整色を強めました。とりわけ、これまで世界の株式市場の上昇をけん引してきたナスダック総合指数(以下、ナスダック)の下げがきつく、市場センチメントに影を落としています。
ただ、ナスダックの下落には他の要因もありそうです。1月27日、中国の新興人工知能企業DeepSeek社が低コストの生成AIモデルを開発したことが市場で伝わり、将来の半導体・設備投資需要拡大への期待が大きく揺らぎ、関連銘柄の株価が急落しました。なかでも、ブームの象徴であったAI半導体大手のエヌビディアの株価が17%安と、わずか1日で時価総額が約91兆円失われたことは、市場に衝撃を与えました。
チャート面から見て今回のナスダックの株価下落をどのように捉えるべきでしょうか。下図は2020年以降の週足チャートです。前回の上昇局面(20年3月~21年11月)でも、今回の上昇局面(22年12月~)でも、短期調整時には26週移動平均線が下支え、ないしは、同線を割り込んだ直後に底入れ、というパターンを繰り返して上昇トレンドが維持されてきたことがわかります。しかし、前者では22年1月に26週線に続いて52週線も下回ったことがトレンド転換のサインとなりました。今回も足元で26週線に続いて52週線を下回ってきており、残念ながら22年12月以降の上昇トレンドが腰折れした可能性は否定できません。

(注1)直近値は2025年3月18日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)ナスダックより野村證券投資情報部作成
しかし、まだ希望は残っています。中長期トレンドを指し示す26週線や52週線は今のところまだ明確な下向きに転換しているわけではありません。前回の株価上昇局面において下降トレンドへの転換が決定的となったのは、52週線割れ後の反発時に、同線の奪回に失敗したことでした(図表中、22年3月の戻し局面)。目下、ナスダックは3月13日安値(17,303pt)で下ヒゲを引き、調整一巡から自律反発局面に移行しつつあります。上昇トレンド復帰には52週線の早期奪回は至上命題となります。今回は絶体絶命のピンチを乗り越えることができるでしょうか。
テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載されている内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。