(注)画像はイメージです。

海外市場の振り返り

8日の米国株式市場では主要3指数が下落しました。相互関税の国・地域別の上乗せ税率が発動される9日を控え、トランプ政権が貿易相手国との交渉に応じる姿勢を見せたこともあり、寄付きの米国株は上昇しました。しかし、中国による報復関税の実施を受けて米大統領報道官が、「中国に対する計104%の追加関税を9日に発動する」と述べたことで、関税発動の延期や譲歩に対する期待が薄れ、株価は下げに転じました。為替市場では、リスク回避的な動きが強まり、円の対ドルレートは一時146円を下回る水準まで円高ドル安が進みました。一方、米中貿易摩擦への警戒が強まる中、オフショア人民元は対ドルでは一時7.4290元まで人民元安が進み、過去最安値を更新しました。

相場の注目点

本日の日本株は、前日の米国株の下落が材料視されそうです。引き続きトランプ政権の動向に揺さぶられる相場展開が見込まれます。9日には、米国で日本・中国・EUへの上乗せ関税が発効される予定です。日本へは24%の高関税が賦課されることになるため、市場の懸念が高まりそうです。トランプ政権は貿易相手国との交渉に応じる姿勢をみせているものの、現時点では相互関税の先送りや撤回に成功した国・地域は無いように見受けられます。今後の各国の対応策や米国との交渉、品目別関税などに注目です。中でも中国は強硬姿勢を強めており、更なる報復関税などの対抗措置を採るのかが焦点となります。いずれにせよ、トランプ関税を巡るあく抜け感が市場で出てくるまでには、もう少し時間を要しそうです。日本では植田日銀総裁、米国ではバーキン・リッチモンド連銀総裁が講演を予定しています。関税によるインフレへの影響などの発言が注目されます。

(野村證券 投資情報部 坪川 一浩)

(注)データは日本時間2025年4月9日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

ご投資にあたっての注意点