(注)画像はイメージです。

海外市場の振り返り

9日の米国株式市場では主要3指数が揃って急反発しました。NYダウは前日比2,962ドル上昇し、上げ幅は指数算出開始以来、最大となりました。この日の米国株は下落して取引を開始したものの、トランプ大統領がSNSで、中国に対しては関税率を即座に125%まで引き上げる一方、報復措置を取っていない国に対しては前日に発動した相互関税の上乗せ部分を90日間停止し、関税率を10%とする措置を即座に発効する、と示したことを機に急騰しました。為替市場では一時、1ドル=144円を割り込む場面もありましたが、市場のリスクオフムードが和らいだことでドルを買い戻す動きが優勢となりました。

相場の注目点

今週末からいよいよ米企業の決算発表が本格化します。LSEGによれば、S&P500採用企業の2025年1-3月期のEPS(1株当たり利益)増益率は前年同期比+7.8%と予想されています(4月4日時点)。もっとも、多くの投資家の関心は相互関税が企業業績に与える影響に向かっているとみられます。したがって、今決算シーズンは終わった期の実績以上に先行きに関する会社側のコメント・見通しが注目されることになりそうです。なお、パンデミック時のように先行きの見通しが不透明なことを理由に業績見通しを撤回・非開示とする企業が相次ぐ場合、株式市場はネガティブな反応を示す展開も想定されます。

本日、米国で3月消費者物価指数が発表されます。市場予想(コア指数:前年比+3.0%)を下回れば、利下げ期待が高まる可能性があります。しかし、3月の指数は一律10%の相互関税が発動される前のものです。インフレ鎮静化を示す結果であったとしても、”過去のデータ“と捉えられれば相場への影響は軽微となるかもしれません。そのほか、ダラス・シカゴ・フィラデルフィアの各連銀総裁が講演を行います。各総裁の相互関税の発動が米国景気に与える影響などに関する発言に注目です。

(野村證券 投資情報部 岡本 佳佑)

(注)データは日本時間2025年4月10日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

ご投資にあたっての注意点