(注)画像はイメージです。

海外市場の振り返り

10日の米国株式市場で主要3指数は揃って大幅反落となりました。NYダウは再び4万ドルを割り込み、前日終値からの下げ幅は一時2,100ドルを超えました。「相互関税」発動を巡る混乱がトランプ政権への不信感につながっているとみられます。また、米中貿易戦争の激化が引き続き警戒される中、米国経済への悪影響に対する懸念も根強いことがうかがえます。為替市場では米ドルが主要通貨に対して概ね下落し、米ドル円は再び1米ドル=145円を割り込んでいます。

相場の注目点

引き続きトランプ大統領の発言が注目されます。前日はトランプ大統領が、発動したばかりの「相互関税」を一部停止すると発表し、リスクオフの巻き戻しが急速に進みました。NYダウは終値で3,000ドル近く急騰し、過去最大の上げ幅を記録しました。もっとも、一律10%の基本税率は維持されるほか、米国外で作られた自動車や鉄鋼・アルミニウムに対する25%の追加関税も継続しています。加えて、中国に対する関税率は、合成麻薬フェンタニルの流入を理由に課している20%を含めると合計145%になる模様です。先々の不透明感が完全に払しょくされたとは言えず、なによりトランプ大統領の朝令暮改の発言で相場が乱高下する動きが続くだけに、投資家心理もなかなか安定せず、不安定な相場展開が続くことが予想されます。

本日のイベント

米国では、4月ミシガン大学消費者信頼感指数が発表されます。4月以降の一段の関税引き上げの影響から景況感が悪化し、スタグフレーション懸念が高まるリスクが警戒されます。また11日の米大手銀行を皮切りに、1-3月期決算シーズンに突入します。多くの企業が業績ガイダンスを下方修正した場合、市場の動揺が続く可能性も想定されます。

(野村證券 投資情報部 引網 喬子)

(注)データは日本時間2025年4月11日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

ご投資にあたっての注意点