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※2025年4月10日(木)引け後の情報に基づき作成しています。
日経平均株価、下落局面では5年移動平均線が下支えに
今週の日経平均株価は、トランプ政権の関税政策を巡って、変動が大きくなっています。7日に歴代3位の下落幅を記録した後、10日には歴代2位の上昇幅を記録しました。
チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、4月2日に米トランプ大統領が発表した相互関税の発表を受けて大幅安となり、7日には一時30,792円まで下落しました。しかし、9日に一部相互関税の一時停止を発表したことを受けて、10日の日経平均株価は一時34,639円まで上昇しました。
この先、上昇が続く場合は、昨年12月高値から今年4月安値までの下落幅に対する半値戻し(35,595円)や、下向きの25日移動平均線(4月10日:36,161円)を回復できるか注目されます。
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(注1)直近値は2025年4月10日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成
一方で、関税を巡る不透明感は当面続くとみられ、上昇一巡後に再び調整となる場合、2023年10月安値(終値ベース:30,526円)等、多くのフシがある30,000円前後の水準で下げ止まるか注目されます(図2)。 同水準近くには長期月足チャート上の5年移動平均線(4月10日:30,672円)も控えます(図3)。過去10年間の主要な下落局面においては、2020年のコロナショックを除き、概ね5年線が下支えとなってきました。今回も同様の動きとなるか注目されます。

(注1)直近値は2025年4月10日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

(注1)直近値は2025年4月10日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社、各種資料より野村證券投資情報部作成
歴史は韻を踏む?VIX指数50超えの意味とは
米国で4月2日に発表された相互関税の影響で、NYダウは大幅に下落し、8日にかけて4,500ドル以上の下げを記録しました(終値ベース)。
このような急落を受け、VIX指数(恐怖指数)は50を超えました(図4)。VIX指数は恐怖指数とも呼ばれ、将来の相場に対する投資家心理を反映する指数です。過去に遡ると、2015年のチャイナショックや20年のコロナショック等、VIX指数の大幅上昇を伴う様々なショックがありましたが、株価はそれらショックを乗り越え、その後、史上最高値を更新してきました。結果的に、VIX指数が大幅上昇した局面は、中長期トレンドの観点からは投資の好機となっていました。

(注1)価格は終値ベース。直近値は2025年4月9日現在。(注2)赤い網掛けはVIX指数の主たる上昇局面。。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成
今回の下落率を過去10年の主要な調整局面と比較すると、4月8日までの下落率は新型コロナによる都市封鎖の影響で経済活動が大幅に制限された「コロナショック」時を除けば、大底形成時と同程度になっています(図5)。今後、大底を形成する動きが見られるか注目です。
4月9日にトランプ大統領が一部相互関税を一時停止すると発表し、株価は急反発しましたが、今後もトランプ大統領の発言によって上下に株価が大きく動くと予想されます。トランプ関税が世界のサプライチェーンに与える影響は大きいですが、グローバル企業は時間をかけて新ルールに適応するでしょう。過去のショックを乗り越えたように、今回も回復できることを期待します。

(注1)直近値は2025年4月9日時点。 (注2)下落局面は全てを網羅している訳ではない。(注3) 過去の下落局面や今回の下落局面は、直前の高値を起点とした。(注4)チャイナショックは、2015年6月上海総合指数大幅安や、8月中国人民元切り下げ等を受けて、中国景気減速に対する懸念が高まり、米国株や商品価格等の下落につながった局面。
(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社より野村證券投資情報部作成
(野村證券投資情報部 岩本 竜太郎)