
(注)画像はイメージです。
海外市場の振り返り
11日の米国株市場では、主要3指数が揃って反発しました。コリンズ・ボストン連銀総裁が「金融市場が無秩序な状況になれば、FRBは安定化に向けて支援する要因がある」と発言したことが好感されました。ただし、この日発表された4月ミシガン大学消費者信頼感指数は約3年ぶりの水準に低下した一方、期待インフレ率は短期・長期共に数十年ぶりの水準に上昇しました。恐怖指数と言われるVIX指数は37.56と相互関税発表前(21.51)を上回っています。特に市場参加者が警戒しているのは、通常は安全資産と位置付けられる米国債がボラティリティ(変動率)の上昇と共に売られている点です。米国債版の恐怖指数であるMOVE指数も、コリンズ総裁の発言を受けてなお上昇しています。米国債市場の不安定化が、米国経済やドル建て資産への信認低下を示しているのだとすれば、米国株にとっても厳しい相場環境が続くことが予想されます。
相場の注目点
トランプ政権の高関税政策を受けて、米国ではスタグフレーション(景気減速下でのインフレ高進)懸念が高まっています。市場では利下げ観測が高まる一方で、多くのFRB高官はインフレ再燃を懸念してむしろ利下げに慎重な姿勢を示しています。今週はパウエル議長を筆頭に、多くのFRB高官の講演などが予定されています。スタグフレーション懸念を踏まえた上での利下げに対するスタンスや市場不安定化リスクに対する評価、市場介入の是非など、各FRB高官の見解が改めて注目されます。利下げや市場介入に対して慎重な見解が繰り返されれば、市場の不安定性が高まることが懸念されます。また、米国では25年1-3月期の決算発表が本格化しています。過去の経験則では、先行き不透明感が高い状況下で、企業による業績予想の発表見送りは、市場では売り材料視されやすいようです。
(野村證券 投資情報部 尾畑 秀一)


(注)データは日本時間2025年4月14日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。