来週の注目点:米金融政策、トランプ政権の動向、関税の景気への影響

日本では5月3日(土)からゴールデンウイーク後半を迎えます。連休中も目を離せないのが、トランプ政権の動向です。トランプ政権は3日(土)までに、米国に輸入される主要な自動車部品について25%の追加関税を発動するとしています。自動車業界から製造コストの増加や販売価格の上昇につながるとの懸念の声が広がる中、米国内で自動車を生産するメーカーを対象に負担を軽減すると表明したことが一定の安心感につながっています。関税を巡る米国との二国間交渉も継続されており、その行方も注目されます。  

また、主要国の金融政策にも目が離せません。米国で6日(火)-7日(水)に開催されるFOMCでは、金融政策は据え置きが見込まれます。会合後のパウエルFRB議長の記者会見では、関税の影響に関する考え方や、2日(金)発表の4月雇用統計に対する評価に注目です。また、9日(金)にはFRB高官の講演が数多く予定されており、金融市場で材料視される可能性があります。

日本では、8日(木)に3月日銀金融政策決定会合の議事要旨が公表されます。トランプ政権の関税政策の影響に関する政策委員の議論に注目です。また、9日(金)には3月毎月勤労統計が発表されます。足元では、名目賃金の伸びが加速する一方で、実質賃金は2ヶ月連続でマイナスとなっています。3月も実質賃金のマイナスが継続する公算です。高水準の賃上げとなった春闘の結果が反映される4月以降、賃金統計にどのように反映されるのかが今後の焦点です。

中国では、6日(火)に4月財新版・サービス業PMI、9日(金)に4月貿易統計が発表されます。米国の相互関税発動の影響が4月後半から顕在化している可能性があり、輸出が急速に減速に向かうと野村では予想します。これまで景気を下支えしてきた輸出の減速は、不動産不況の継続とあわせて、中国経済にダメージを与え、中国政府は政策対応を迫られるとみています。

(野村證券投資情報部 坪川 一浩)

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