
(注)画像はイメージです。
海外市場の振り返り
8日の米国市場では貿易協議進展への期待から市場のリスクセンチメントが改善し、株式市場では主要3指数が揃って続伸、米ドルは円やスイスフランを中心に主要通貨に対して上昇しました。米ドル円相場は146円前後まで円安が進行しています。トランプ大統領は英国との貿易協定で合意したことを発表、米国は英国からの輸入品に対する10%の基本税率を維持するものの、品目別の追加関税を引き下げる一方、英国は米製品に対する関税率を5.1%から1.8%に引き下げる模様です。トランプ大統領は、中国に対しても交渉が順調に進めば関税を引き下げることを検討し得ると述べました。
相場の注目点
目先最大の注目点は、今週スイスで予定されている米中貿易交渉です。トランプ大統領はこれまで中国に対する厳しい姿勢を維持してきたことから交渉は難航するとの見方が有力でしたが、現在145%の対中関税を50%程度まで引き下げることを検討しているとの報道もあり、市場の期待が高まっています。今週はEUとも協議が予定されています。EUは8日、米国との交渉に失敗した場合、追加関税を950億ユーロ規模に拡大する計画を明らかにしました。
金融政策面では、FRBは5月FOMCで予想通り3会合連続で政策金利を据え置き、パウエルFRB議長は予防的利下げには慎重な姿勢を示しました。今後も、金融政策運営は経済指標を見極めながら判断する状況が続きます。
本日のイベント
本日はウィリアムズNY連銀総裁はじめ、複数のFRB高官の講演が予定されています。今後の政策運営を巡って、FRB内のコンセンサスを探る上で良い機会になりそうです。
(野村證券 投資情報部 尾畑 秀一)


(注)データは日本時間2025年5月9日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。