
(注)画像はイメージです。
海外市場の振り返り
貿易協議の合意違反を巡って米国と中国が互いに非難を強め、米中間の緊張が改めて意識されるなか、週明け2日の米国株式市場でNYダウは下落して始まりました。一時416ドル安となる場面もみられましたが、その後は米中首脳会談開催期待を支えに終盤にかけて下げを取り戻す展開となりました。ハイテク株の一角に買いが入ったことも支えとなり、NYダウは続伸、S&P500とナスダック総合は反発しました。為替市場では米ドルが主要通貨に対して下落し、ドル円は142円台半ばから143円近辺での推移となりました。
相場の注目点
トランプ大統領が再び強硬姿勢を強めている可能性が警戒されますが、これまでの関税政策が見直しや延期、撤回など二転三転してきたことで、市場ではトランプ大統領の姿勢をタコトレード(トランプ大統領はいつも怖気づいてやめるという意味の造語)と揶揄する声もあり、VIX指数は下落しています。一方、トランプ関税が米国経済の下押しにつながるとの懸念は根強く、ドル離れは引き続き警戒されています。トランプ関税や各国との通商交渉に絡んだ報道に加え、米経済指標をにらんだ神経質な地合いが続きそうです。2日発表の5月ISM製造業景気指数は市場予想を下回り、企業景況感の弱さを示しましたが、現時点でハードデータには顕著な弱さは確認されていません。今週は6日(金)の5月雇用統計が注目されます。
本日のイベント
日本では3日(火)に植田日銀総裁の講演が予定されています。次回6月会合での利上げが想定しにくい中、国債買い入れに関する発言が焦点になると予想されます。今週は3日(火)に10年債、5日(木)に30年債の入札が予定され、超長期債の需給動向が引き続き関心を集めそうです。
(野村證券 投資情報部 引網 喬子)


(注)データは日本時間2025年6月3日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。