来週の注目点:米連邦予算案、FRBの政策姿勢、米国の重要統計

トランプ大統領は6月23日(米国時間)、イランとイスラエルの停戦合意に達したことをSNSに投稿しました。これを受け、中東情勢の泥沼化による世界経済や株価に対する懸念は一旦後退しています。

トランプ政権は7月4日(金)までに個人所得税減税の延長や連邦政府の債務上限引き上げを含む2026年度(25年10月~26年9月)連邦政府予算案を成立させたい意向です。また、9日(水)には相互関税の上乗せ分の停止期限を迎えます。いずれも注目度の高いイベントであるため、神経質な相場状況が続きそうです。

6月30日(~7月2日)からポルトガルでECB年次フォーラムが開催され、1日(火)には主要中銀の総裁が登壇します。トランプ政権の関税政策や地政学リスクなど、先行きの不確実性が高まる中でどのようなメッセージを発信するのかが注目されます。

米国では今週も複数のFRB高官の講演が予定されています。先行して利下げに言及してきたウォラーFRB理事に続いて、前週はサンフランシスコ連銀のデイリー総裁も今秋ごろの利下げの可能性に言及しました。パウエルFRB議長も半期議会証言での質疑で「インフレ圧力が本当に抑制されたままだということになれば、早めに利下げに踏み切ることになろう」と発言するなど、FRB内の金融政策議論に変化の兆しが見受けられるため注目されます。

米国の経済指標は、1日(火)に6月ISM製造業景気指数、5月雇用動態調査(JOLTS)、2日(水)に6月ADP全米雇用レポート、3日(木)に6月雇用統計、6月ISMサービス業景気指数と重要統計の発表が予定されています。4日(金)は独立記念日のため雇用統計の発表は1日前倒しされ、金融市場は休場です。

日本では30日(月)に5月鉱工業生産、1日(火)に日銀短観(6月調査)と景気動向を予想する上で最重要な経済指標が相次いで発表されます。短観では企業の設備投資に対する積極姿勢に変化がないかが注目されます。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

(注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年6月27日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
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