(注)画像はイメージです。

海外市場の振り返り

31日の米国市場でS&P500は、一時は取引時間中の最高値を更新したものの、結局3日続落して引けました。マイクロソフト、メタ・プラットフォームズなどの好決算も指数全体を押し上げるまでには至りませんでした。為替市場では米ドルがG10通貨に対して全面高となり、対円では200日移動平均線(149円59銭)を5ヶ月半ぶりに上抜けし、150円台後半で推移しています。決定会合後の植田総裁の発言が、市場では想定以上にハト派的(利上げに消極的)と受け止められたようです。

相場の注目点

7月の金融政策会合では日銀、FRB、ECBともに事前の予想通り政策金利の据え置きを決定しました。ただし、今後の政策スタンスは3者3様です。ECBの利下げ見送りは8会合ぶりであり、ラガルドECB総裁は追加利下げに慎重な姿勢を示しました。FRBの金利据え置きは5会合連続です。パウエル議長は利下げを急がない意向を示唆しました。日銀も4会合連続で政策金利を据え置きました。経済・物価が見通しに沿って推移すれば政策金利を引き上げる方針に変更はない様子であり、植田総裁の発言にも大きな変化は確認できませんでした。米国と日本、EUの間で関税協定が合意に達したことから、今後は金融政策スタンスの違いによる影響が、為替相場を筆頭に、金融市場動向にも波及することが予想されます。

本日のイベント

米国では新たな関税が発動される予定です。ただし、詳細が明らかになっていないものも多く、現場では混乱が予想されています。また、7月雇用統計、 7月ISM製造業景気指数と重要指標が発表されます。失業率が予想外に上昇すれば、市場の早期利下げ観測を喚起する可能性があります。

(野村證券 投資情報部 尾畑 秀一)

(注)データは日本時間2025年8月1日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

ご投資にあたっての注意点