
※画像はイメージです。
注目されたジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演は、次回9月16-17日のFOMC会合での利下げの可能性を示唆する内容でした。
パウエル議長は、雇用下振れリスクが高まっているとの見解を示したうえで、政策が景気抑制的な領域にある現状では、「政策スタンスの調整を正当化する可能性がある」との考えを明らかにしました。
市場ではこの発言をハト派的(利下げに積極的)と受け止め、FF(フェデラル・ファンド)金利先物は25年中に2回の利下げを完全に織り込みました(1回当たりの利下げ幅を0.25%ポイントと想定)。また、26年末までに累計5回の利下げが実施され、政策金利の誘導目標は3.00-3.25%へ低下するとの見方を織り込んでいます。
米国の政策金利見通し

(注)データは日次で、直近値は長期均衡金利は2025年6月18日、それ以外は2025年8月25日。政策金利はFF(フェデラル・ファンド)金利翌日物のレンジの中央値。FF金先はFF金利先物。長期均衡金利は25年6月19日以降は横ばいとして延長。
(出所)FRB、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成
一方、野村證券では、FRBは25年9月、12月、26年3月と3回の利下げを行い、政策金利を3.50-3.75%へ引き下げると予想しています。25年中に2回、26年に1回の利下げとの見通しは、25年6月FOMC時点のFRBの見通しと一致しています。
26年以降の利下げペースや政策金利の着地点を予想する上で、市場ではパウエル議長の後任候補を含む、FRB理事の人事が注目を集めています。特に、市場が織り込む3.0%の政策金利水準は、FRBが想定する長期均衡金利であるだけではなく、ベッセント財務長官がありうべき政策金利水準として言及した水準でもあります。
FRBの政策決定では、議長、副議長を含む7名の理事とニューヨーク連銀総裁に加え、輪番制で4名の地区連銀総裁が投票権を有しており、多数決によって議決されます。パウエル氏の任期は議長としては26年5月ですが、理事としては28年1月まであります。近年は議長としての任期満了とともに、理事も辞任することが慣例となっていますが、パウエル氏は進退を明らかにしていません。また、25年8月8日にクグラー理事が辞任、8月25日にはトランプ大統領がクック理事を解任する意向を示しました。
直近7月FOMCで利下げを主張した参加者は、トランプ政権下で任命されたボウマン副議長とウォラー理事の2名だけでしたが、仮にパウエル議長が理事を辞任した場合、トランプ大統領の意を汲んだ政策判断を行う可能性がある理事は、議長を含み最大5名となる可能性があります。
市場ではFRBの独立性が脅かされれば、米国への信認低下から株安・債券安・米ドル安のトリプル安を招くとの警戒感もあります。トランプ大統領は具体的な手法は不明ながら、理事会だけではなく地区連銀総裁人事にも関与する意向を示しており、これらの点には注意が必要です。