
米国では2025年9月末までに2025/26年度予算が成立せず、10月1日から政府閉鎖が実行されました。このため、経済指標の発表が延期・中止される事態になっています。短期間で収束すれば景気への影響は軽微にとどまる一方、長期化すれば企業・消費者センチメントの悪化も相まって、景気への悪影響が顕在化するとみられます。前週末のマーケットでは政府閉鎖に伴う公務員の大量解雇は民主党の造反を促す交渉材料との見方が広がり、市場は静観の構えを示しました。
米国では今週も多くのFRB高官の講演が予定されています。経済指標の発表延期が政策判断にどのような影響を与えるのか、各高官の発言が注目されます。

日本に関しては、政治面では自民党総裁選後の与野党協議の行方が注目されます。金融政策面での注目点としては、6日(月)の日銀支店長会議が挙げられます。10月の金融政策決定会合はライブ(政策変更もあり得る)だとの見方が高まっているうえ、直近の日銀短観(9月調査)は大企業製造業の景況感が2四半期連続で改善する結果になりました。地方の景気動向を踏まえた上で、植田総裁の発言が注目されます。経済指標では8日(水)の8月毎月勤労統計、9月景気ウォッチャー調査と今後の景気動向を見極める上で注目度の高い指標が発表されます。

欧州では6日(月)にユーロ圏の8月小売売上高、7日(火)にドイツの8月製造業受注が発表されるうえ、9日(木)には9月ECB政策理事会の議事録が発表されます。ECBは25年6月の利下げを最後に政策金利を据え置いています。先物金利を見ると、市場では26年半ばにかけて金利据え置きを予想しています。ドイツの製造業受注統計は国内およびユーロ圏内外からの財別の受注動向を把握することができます。トランプ関税が、ドイツおよびユーロ圏の消費、設備投資に与える影響を探るうえで重要な手掛かりとなることから、注目されます。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)
(注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年10月3日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
なお、米国で2025年10月1日から実施された連邦政府機関の一部閉鎖の影響で、米国の経済指標の一部で発表が延期・または中止されるものがありますのでご注意ください。
(注2)画像はイメージです。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成