(注)画像はイメージです。

海外市場の振り返り

5日の米国株式市場で主要3指数は揃って反発しました。朝方は前日から続くハイテク株売りが株価の重石となりましたが、10月ADP全米雇用レポートの民間雇用者増加数や10月米ISMサービス業景気指数が市場予想を上回り、投資家心理が改善しました。また、トランプ政権が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき課した相互関税の合憲性を巡る米連邦最高裁での口頭弁論で、保守派も含む複数の判事が合憲性に懐疑的な見方を示したと報じられました。これを受け、仮にトランプ政権の関税政策が覆れば、企業のコスト軽減につながるとの期待が浮上したことも、相場の追い風になったとみられます。

相場の注目点

米国では感謝祭(今年は11月27日)翌日の大規模セールイベント「ブラックフライデー」から年末商戦が本格化します。小売業界の一大イベントを前に、本日NRF(全米小売業協会)が2025年の年末商戦の小売売上高見通しを発表します。底堅い雇用情勢を背景に、個人消費が米国経済をけん引してきました。しかし、米国株が過去最高値圏にある中、株高による資産効果の恩恵を受けやすい富裕層と物価高に悩む中低所得層で、消費行動の二極化が進んでいるとの指摘もあります。年末商戦で中低所得層が消費に慎重になる可能性がある点に留意が必要です。また、小売企業においてはトランプ関税の影響によるコスト増が見込まれることから、価格戦略にも注目が集まるでしょう。企業が販売数量を優先して価格を抑える戦略を取った場合、利益率が圧迫され、株式市場ではネガティブに受け止められる可能性もありそうです。

そのほか、日本では9月毎月勤労統計が発表されます。また、米国ではNY連銀のウィリアムズ総裁など、複数のFRB高官が講演を行う予定です。各高官が利下げに対してどのような見解を示すかがポイントです。

(野村證券 投資情報部 岡本 佳佑)

注)データは日本時間2025年11月6日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、中心限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

ご投資にあたっての注意点